鎌倉市で高橋源一郎さんの講演                                 「ぼくらの国なんだぜ~憲法とこの国の未来を考える」

2014年4月30日 00時20分 | カテゴリー: 平和・人権・多文化共生

 鎌倉市と鎌倉平和推進実行委員会主催の「憲法記念日のつどい」が、29日午後、鎌倉生涯学習センターホールで開催されました。「ぼくらの国なんだぜ~憲法とこの国の未来を考える」と題した、鎌倉市在住の作家、高橋源一郎さんの講演です。

 私は、季刊誌SIGHTに連載の高橋さんと哲学者の内田樹さんとの対談を毎号読んでいますが、同誌59号の対談では、今年の神戸市の憲法集会の講演者が内田さんに決まったところ、神戸市と市教委が後援を降りたことが明かされていました。今日の講演でも、「憲法を尊重擁護する義務がある公務員が、憲法に関連した講演は主催したり後援したりできない、と言うのはおかしな話。『鎌倉市は(神戸市と違って)エライ』のではなく、『普通』ということです」と高橋さん。全くそのとおりで、理由もなく萎縮する空気が広がることがないようにしなくてはなりません。

 講演は、作家として言葉にこだわるというスタンスに貫かれたものでした。
 
この10年間の一番大きな変化は、皆が権利の主張をためらうようになったこと。弱い立場の人を棄民としてかえりみない政策がまかり通り、ブラック企業に入っても権利を主張することがない、教育のブラック化(※)も急速に進んでいる。しかし、あらゆるものが市場原理に晒されるこうした状況を捉え、打開するために「拠って立つ言葉」がない。一人一人が自分の居る場所で学び、知り、考えるしかない…。

 今回の講演は、集団的自衛権の解釈で憲法が危機に…、といった現状に対する問題提起等を予想されていた参加者がいらしたとしたら、少し驚きだったかもしれません。でも、私たちの内面に迫る危機にまで深く掘り下げたお話だったと思います。
 高橋さんは、「安倍さんたちがやっていることは、物事をシンプルにしようっていう話。強い言葉は単純。『物事は複雑だよ』という僕らの論理は、強い言葉にはならないけど、弱い言葉を無現に集めるしかない。長いレンジで生き残るのは弱いと思われていた言葉だと信じる」と内田さんとの対談でも発言されています。
 
単純化に突き進む流れに抗する、というメッセージに深く共感します。

(※)教育のブラック化については、高橋さんが4月24日付朝日新聞論壇時評で、雑誌「現代思想」4月号の特集を紹介なさっています。個々の生徒にパソコンをあてがって非正規のインストラクターがモニターする「授業」が行われている米国のチャーター・スクールの実態はショックでした。