鎌倉市で新規循環バスの社会実験

2014年5月6日 01時20分 | カテゴリー: 交通政策

 

右が在来路線、左がスーバの所要時間(4日、ハイランド入口)

 

所要時間に差がない(5日 泉水橋付近)

 

社会実験実施中!スーバ

国の補助なしで、3日間の実験に444万円
 5月3~5日の連休の3日間、鎌倉市では渋滞を回避して鎌倉駅に出られるよう、新規ルートの循環バスを走らせる社会実験が行なわれました。京急の中型バス車両5台を借り上げて、鎌倉駅から県道金沢鎌倉線を通って浄明寺ハイランド経由で鎌倉駅にもどる新規循環バス「スーバ」の運行(鎌倉駅発10時~16時の間に19便)です。新規循環バスのチラシ
 市は、この事業を平成25年度の国交省の社会実験制度の対象事業にして国の補助金を充てようとしましたが、渋滞解消という対象要件と一致しないため選定されず、経費444万円の全額を市費で賄って実施しました。踏切のように安全確保が必要な地点には誘導員を配置、主要バス停や交差点などのチェックポイントと全ての循環バスの車中には調査員を配置して、所要時間や利用者数のチェック、乗客へのアンケート協力依頼を行ないました。車両運行経費に加え、こうした人海戦術による誘導と調査、結果分析の経費等を合わせて444万円を要しました。

実態は押し寄せた観光客のための増便
 この社会実験の目的は、「バスの所要時間を短縮させることで、マイカーから公共交通へのシフトができるか」ということの検証です。私は54日、5日の両日ハイランド入口バス停1251分発の9便に試乗しました。4日は7分遅れ、5日は13分遅れの到着でしたが、乗車後はともに約15分で鎌倉駅に到着しました。
 
運行エリアを巡回していた市の担当者に確認したところ、初日の3日は合わせて600人の乗客があったとのことです。利用した乗客の多くが渋滞で不便を強いられてきたエリアの住民の方たちであるなら、スーバの運行は大いに役立った、ということになりますが、利用客の大半は観光客だったと見て間違いないでしょう4日は徒歩で、5日は路線バスで鎌倉駅近くの自宅からハイランド入口まで移動しましたが、鎌倉駅を満員で発車したバスの乗客の多くは浄妙寺や報国寺の最寄の浄明寺バス停と次の青砥橋バス停で下車しており、「従来の路線バスより所要時間が短縮できる」という理由で住民がスーバの方を利用すると想定された泉水橋からハイランドまでの6バス停からの乗客は各0~3人ほどしかいませんでした。もっとも、住民の方が確認されたところ、この区間の最後のバス停「ハイランド」(「ハイランド入口」とは別のバス停で、逗子市側にある)からは午前の早い時間帯にはもっと多くの乗客があったとのことですから、逗子市民のお出かけには役立ったのかもしれません。

渋滞が起きずに、発揮されなかった時間短縮効果
 
しかも、この3日間、鎌倉駅周辺の街中は観光客でごった返していたにもかかわらず、道路は若宮大路と鶴岡八幡宮前の一部区間を除いて大きな渋滞は起きませんでした。その結果、平均して30分程度と予想されたスーバと従来の路線バスとの所要時間の差はずっと狭まったものとなりました。私が利用した9便に至っては、ほとんど差がなかったことが、路傍の所要時間の比較表示(写真参照)からも明らかです。

 5日の9便がハイランド坂上バス停にさしかかったところ、バス停付近に沢山の人がいるので、乗り込んでくると思いきや、テレビ局の取材のための人だかりでした。「連休の鎌倉の渋滞対策」ということで世間の関心を集めたのでしょうか。
 
人海戦術による、バスの運行と利用の調査結果が出るのはこれからですが、「渋滞がひどくなかった」という予想外の事態を除けば、社会実験を行なわなくても十分予測された結果以上のことは出てこないと思われます。
 2月議会には、住民の意向を反映した交通政策ではないとして社会実験の見直しを求める陳情が市民グループから出されましたが、賛成したのは神奈川ネットと無所属の議員だけで、不採択となっています。