外出は最大の介護予防―生活支援サービスと「外出支援」

2014年6月1日 00時56分 | カテゴリー: 福祉

約100の団体からなる移動ネット

かながわ県民センターの会場は満員

 531日、横浜市内で開催されたNPO法人「かながわ福祉移動サービスネットワーク」(移動ネット)の総会記念イベントに参加しました。移動ネットは、一人での外出が難しい高齢者や障がい者の外出を支援するサービスを行う県内約100団体のネットワークです。
 2015
年度の介護保険制度改正で、要支援1、2の方の介護予防サービス(訪問介護・通所介護)は、介護保険による給付から市町村の介護予防・生活支援サービス事業に移される見通しです(制度改正を盛り込んだ法案は5月15日の衆院本会議で可決、参院に送付されており、政府・与党は今国会で成立させる方針)。
 
今回のイベントは、新しい市町村事業「生活支援サービス」が、生活支援としての「外出」を拡げる機会となり得るのか共に考えよう、ということで行われました。初めに、厚労省老健局振興課の朝川智昭課長の「地域包括ケアシステムの構築」についての講演、続いて移動ネットの活動の現場からの報告がありました。

外出は最大の介護予防
 
2006年の法改正で福祉有償旅客運送が道路運送法に位置づけられて以降、移動サービスの対象人口は増えていますが、サービス提供件数は県内、全国ともに増えていません。移動ネットが行なったアンケートによれば、サービスの受け手の登録者数2127人のうち要介護の方は44%、要支援の方は14%で、合わせて過半数。一方、利用件数では、定期的な利用が多い障がいを持った人の利用が過半数(54%)を占めるそうです。
 
要支援の方の利用目的では、介護保険ではできない病院内での補助に対するニーズが大きい「通院」が58%。残り42%の「その他の外出」は、買物、金融機関等への付添、交友、美容院、サークル活動等多岐にわたります。要支援1の方なら1人で外出できると思われがちですが、数団体の移動サービスの担い手から具体例が報告され、要支援1の方でも個々人の心身の状況や住宅環境、家庭や地域の状況により支援が必要であり、サービス提供で後押しすることによりQOLの向上につながる、ということがよくわかりました。

2025年問題と地域の担い手
 
今後、生活支援サービスは、地域のボランティア、NPO、民間事業者等の「地域の多様な主体」の活用をはかって市町村事業として展開されることになります。これには、要となる生活支援コーディネーターの連携・協力が不可欠です。国の今年度予算の地域支援事業費642億円のうち、コーディネーターの配置にかかる経費は5億円。朝川課長への質疑では、コーディネーターの人材と財源の手当てについての国の姿勢を問う声があがりました。 
 高齢者に対する移動支援は大切な介護予防ですが、同時に、団塊の世代が
75歳に達する2025年に向けて在宅医療と介護の連携を推進する必要性が叫ばれるなか、「通院ができなければ在宅で暮らし続けることもできない」という切実なニーズとも向き合うものです。朝川課長は、特に地方において高齢者が暮らしが困難となる事態への懸念を述べ、集住(コンパクトシティ化、都市への集中加速化)の方向に進めば事足りるのではなく、国交省とも連携して取り組まなくてはならない、と表明されていました。高齢者が住み慣れた場所で暮らし続けるために必要な移動の確保は、福祉と交通・街づくり施策の連携で進めなくてはできないのは確実です。