住民監査請求を通過儀礼にしない

2015年12月9日 23時24分 | カテゴリー: 市民参加&市民活動

 鎌倉市議会12月定例会の一般質問は127日で終了し、8日から常任委員会の日程が始まっています(総務常任委員会は、11日の予定です)。7日の本会議は、一般質問終了後に議案上程が行われ22時半までかかりました。私は平成26年度一般会計歳出歳入決算の認定議案と、「神奈川県議会に対して政務活動費の疑義についての真相究明と必要な措置を求める意見書」の提出動議に対して反対の立場で討論を行いました。しかし、両議案とも賛成多数で可決しました。

政務活動費の不正支出は相殺せずに返還を
 
後者の「意見書の提出を求める動議」は、県議の政務活動費の支出の疑義についての住民監査請求で、神奈川県監査委員が支出の事実がない領収書があったと認定したことを受けたものでした。市議会として県議会に真相究明を求める、という趣旨でしたので、議会の間で、そのような要請を行うのは不適切で、県議会の自律性に委ねるべきものだ、と考えて反対しました。しかし、政務活動費にかかる疑義については、当然明らかにされるべきだと考えています。

 また、県監査委員の判断は、会派に交付された政務活動費全体を見れば、架空領収書と認定した分を差し引いても支出額が交付額を上回っているのだから、県には返還請求権が存在せず、住民監査請求は棄却する、というものでした。実際、同様の判断は、これまでに全国各地で起こされた住民監査請求で常に繰り返されて来ています。
 
討論ではこれに触れて、こうしたおかしな「理屈」をまかり通らせないルール作りが必要だ、と指摘しました。「住民監査請求で不正・不適切とされた支出をひっこめて、当初計上しなかった他の支出を当てることはできない」と、政務活動費の運用マニュアル等に議会自ら書き込めば改善できることだと思います。
 
監査委員においても、返還請求権の存在の有無を問題にして終わるのではなく、ダメなものはダメと是正を求める姿勢を見せてほしいものです。

住民監査請求の守備範囲
 住民監査請求に関連して、もう少し付け足します。
 
128日、「横浜市庁舎移転の差止請求住民訴訟」と、「同住民訴訟の前段として行われた住民監査請求における監査拒否処分に対する損害賠償請求訴訟」の両訴訟の原告、かながわ市民オンブズマンが、東京高裁に控訴を提起しました。
 控訴に際して行ったプレスリリースで、住民監査請求の「守備範囲」について問題提起していますので、下記に紹介させていただきます。鎌倉市では、現在北鎌倉隧道の開削をめぐって市民が住民監査請求を提起しています。どれほどの守備範囲で監査結果・監査意見が示されるか注目しています。

― 記 ―

(本件損害賠償請求訴訟の地裁判決で)監査の範囲が裁判所と同様に狭い(=違法性の有無だけを審査する)もので差支えないとするかのような、誤ったメッセージを裁判所が監査委員に送ることは、極めて有害です。これでは住民監査請求は住民訴訟への単なる「通過儀礼」に過ぎないものになってしまいます。

 監査委員の権限は、首長らの「裁量の範囲内」の行為についても、それが果して「妥当」と言えるか否かの審査を含むものです。地方自治法は、首長らの事務処理が「最少の経費で最大の効果を挙げる」という214項の趣旨に合致しているかどうかについて、監査委員は「特に意を用いなければならない」と規定しています(1993項)。
 
監査委員が地方自治体の自浄作用のための機関としての本来の仕事をせずに、裁判所の単なる下請けをつとめる一方で、裁判所は「妥当性の審査は行政裁量の範囲内の問題だから裁判所の仕事ではない」とうそぶいて問題から逃げるというお定りのパターンは、たとえて言えば「野手の誰一人としてボールを追わない」野球を見せられるようなものです。これでは「参政権の一種」(1978年最高裁判決)としての住民監査請求制度は崩壊してしまいます。