外部監査の陳情「継続」の反響

2016年7月2日 14時28分 | カテゴリー: 活動報告

6月28日開催の総務常任委員会にかかった「外部監査制度のすみやかな実施についての陳情」について継続審査を主張したことに対し、「意外だ」「なぜ継続にしたのか」という声をいただきました。
理由は6月29日付で掲載した委員会報告の記事でも書いていますが、あらためて補足の説明をしたいと思います。
なお、委員会での陳情審査の状況は市議会ホームページに中継録画がアップされていますので、実際のやり取り(約40分間)を確認していただけます。
http://www.kamakura-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=gikai_result&gikai_day_id=493&category_id=56&inquiry_id=3370

外部監査の何たるかについての共通の認識はあるのか?
はじめに、陳情については継続審査を主張したが、外部監査制度そのものを否定したのではない、ということを申上げておきます。
市民の方からの要請としては、「鎌倉市で不適切な事務処理や公金の紛失事件、税金の無駄遣いが見られる、従来の監査ではそれがチェックできていない、だから外部監査制度を導入しなくてはならない。外部監査の方が独立性、専門性が高くて不正をチェックできそうだから。」という筋書きで結構ですし、思いを表明していただくのはありがたいことです。しかし、受けとめる議会としては、要請の内容と制度のありようを丁寧に検討して判断をしなくてはなりません。

そもそも外部監査の導入を主張している方たち(議員を含む)の間で、外部監査についての認識が一致しているのかどうか…という問題があります。もしかすると、既存の監査委員同様に任期を決めて就任する、独立性・専門性と大きな権限をもった「お目付け役」を想定されているのかもしれません。そうだとすると、北欧諸国発祥の、いわゆる「オンブズマン」に近いものになりそうです。(川崎市、藤沢市が設置しているオンブズマンは、市民からの市政に関する苦情申立てを調査して、簡易・迅速に処理する機関なので、北欧諸国のものとは異なります。)

地方自治法に規定されている外部監査
しかし、地方自治法252条に規定された外部監査は、包括外部監査と個別外部監査です。http://www.soumu.go.jp/main_content/000088827.pdf(総務省 外部監査制度の概要)

(1)包括外部監査
都道府県、政令市、中核市は、毎年包括外部監査契約を結ぶことを義務付けられています。中核市(人口20万人以上)より小さい自治体でも、条例を制定することにより包括外部監査契約を結ぶことができます。法による義務付けが中核市以上になっている主たる理由は、平均で1件あたり1,380万円という契約金額の財政への負担を考慮したものだと思われます。

経費の問題以上に押さえておかなくてはならない点は、包括外部監査では、外部監査人の判断でテーマを決定して監査を実施する、ということです。ある事務における不適切処理を是正させたい、ある事業の無駄を是正させたいと市民(議員)が考えても、外部監査人にリクエストして取り上げさせることはできません。「それでも、条例を制定して包括外部監査制度を実施するのか」ということの議論がまず必要で、こうした議論抜きに陳情を採択してしまうことは、私には考えられませんでした。
「あと、2万人ちょっと人口が多ければ義務付けられるのだから、テーマの選定は外部監査人の判断だとしても、やればよいではないか」という意見もあると思います。毎会計年度に包括外部監査契約を結ぶことにより、少なくとも、行政に「緊張感」を与える効果は期待できるでしょう。しかし、この点についても費用対効果の議論を抜きにすることはできません。

(2)個別外部監査
もう一方の個別外部監査は、「条例により個別外部監査を行うこととした自治体で、住民・議会・長から監査委員の監査に代えて外部監査人による監査の要求があった場合、個別外部監査契約を締結することができる」というものです。総務常任委員会で私が監査委員事務局長に確認した際の問題意識は、個別外部監査を行うための条例をあらかじめ作っておくことの必要性、有効性の有無でした。
結論から言うと、個別外部監査は、先ず監査に付すべき案件ありきであって、特定の案件について、「これは従来の監査委員監査ではなく外部監査に付した方が有効だ」と判断された時に、住民・議会・長が要求すればよく、条例はその際に提案すればよい、と判断しました。
鎌倉市政、市の組織の現状がひどいから、いつでも抜ける刀のように個別監査を行えるようにする条例を作っておくという論法は説得力がありません。どの案件を個別監査に付すかの判断が重要であって、条例を作ることは難しいことではないからです。

以上のような考えから、陳情に対しては継続審査としました。
個別監査については、例えば、鎌倉市が2017年4月から実施する「介護予防・生活支援総合事業」の実施後2年程度を経て、この事業を個別監査の対象にするというのは、とてもよさそうに思えます。

付記:監査についてのあれこれ
監査委員が請求に基づいて行う監査の一つに、住民監査請求による監査があります。
住民監査請求については、2015年12月9日付および2016年2月17日付記事で取上げています(右列「過去の活動報告」で「月を選択」)。