北鎌倉隧道付近で崩落発生

2016年8月12日 17時00分 | カテゴリー: まちづくり

8月11日夕方、北鎌倉駅脇の素掘りのトンネル付近の斜面が崩落しました。駅利用者が発見して通報したとのことです。トンネルは通行止めになっており、駅ホームへの落下物はなく、けが人はいませんでした。市長が7月25日の市議会全員協議会で、「安全対策として開削工事を行うことを見直し、ライナープレート等で内側を補強する仮設工事を行って歩行者の通行を確保する」と表明してから間もないうちに起こった事故です。

崩落後の洞門A:植物の根がぶら下がっている

A崩落後の洞門:植物の根がぶら下がっている

綿密な調査で冷静な対応を
市消防本部によると、崩れた岩塊は4㎥ほどとのことです。けが人がいなかったのは本当に幸いです。あらためて安全対策が最優先であることを突きつける事故でした。

しかし、「今回の崩落事故の発生でトンネル本体の脆弱さが証明され、安全対策としては開削しかない」と結論付けるのは性急すぎると考えます。

①崩落後の写真Bと通行禁止前の写真Cを見比べるとわかるように、今回崩れたのはトンネル(鎌倉側)手前の山側の斜面と鎌倉側坑口の一部であり、トンネルの本体部分に崩落があったわけではありません。
②今回崩落したのは、市民団体が今年2月に提出した『保存・安全対策の提言』の中でも、トンネル工学の専門家が「一部切除した方が洞門のアーチ構造としての強度を増す※」と指摘した箇所でした。皮肉なことに、一部崩落により、「強度を増す」と指摘されたアーチ型に近づいています。

※洞門のアーチ構造としての強さを増す工法として、

a)鎌倉側、大船側の両坑口部をJRの線路に垂直に切除する工法

b)鎌倉側では山側を切除し、JRホーム側を擬岩工事をふくめて増幅する
(『保存・安全対策の第2提言』抜粋)

③上述の『提言』では、工学的な見地から構造上の強度アップ策を示したものですが、同時に、切除されるべきと指摘された箇所自体は樹木等の根が深く入り込んだり、長い亀裂が確認される脆弱な部分でした。まさにその部分を中心に崩落したものと思われます。崩落後の写真Aで根っこが上からぶら下がっているところが落ちました。市がライナープレート工法と合わせて「人工物のひさしを張り出す」と説明していた箇所と重なります。
単純に言うと、弱いところが落ちた、ということです。弱いところが落ちたからと言って、残った本体部分まで弱いと決めつけるのは冷静な判断とは言えません。

8月17日(水)に、今回の事故について市議会全員協議会を開催することが決まりました。
人の命よりも文化財的価値の方が大切だ、などということは絶対にありませんが、浮足立つことなく綿密な調査を行って適切な安全対策工法を考えるべきです。

トンネルの手前斜面から崩落した土石

Bトンネルの手前斜面から崩落した土石

通行禁止前の洞門:山側斜面が斜めに出っ張り、坑口部も右下に向け下がりめ

C通行禁止前の洞門:山側斜面が斜めに貼りだしている