鎌倉市役所本庁舎整備(9月議会振り返り その1)

2017年10月10日 03時04分 | カテゴリー: 公共施設再編

9月29日に9月議会が閉会しました。政治情勢が目まぐるしく動いたため報告が遅れましたが、複数回に分けて報告します。

「本庁舎整備に向けた取組」の検討の現在の到達点
9月議会の一般質問では、市役所本庁舎の整備方針と、並行して検討中の公的不動産の利活用推進方針について取り上げました。

市役所本庁舎の整備については、1年間の検討を経て、この3月に「移転による整備」という方針が公表されました。
しかし、移転先については、深沢整備事業用地に実質的に絞り込まれているにもかかわらず、全市的な視点からさらに検討を行うとして「移転先の決定は平成29年度中に」とされました。

移転による整備というのは、「本庁舎整備の選択肢として現在地建替えはない」ことを意味します。
その結論を導くために、大地震・津波発生時の庁舎機能停止のおそれや復旧の拠点としての不十分さ、風致・景観地区の建物の高さ制限、貴重な遺構の発見による発掘調査の長期化・計画中止のおそれ、経費増となる仮庁舎の必要性…等々の理由があげられています。
高層化での建替えについては、鎌倉市がこれまで取組んできた景観行政を自ら逸脱することになり、影響が及ぶ地域の合意形成に長期間を要するという難しさがあります。
しかし高層化に限らず、現在地建替えのハードルの高さについての共通認識を広めるのは簡単ではありません。その点を市は肝に銘じておくべきです。

私が一般質問を行ってから3週間程して、市のホームページの「本庁舎整備に向けた取組」のページが、大まかな検討経過を辿るような形で更新されました。
突然更新した意図はわかりませんが、今年度における公的不動産利活用推進委員会(以下、推進委員会)での4回の検討の到達点については、こう書かれています。

本庁舎は深沢整備事業用地に建設を予定している消防本部、総合体育館、グラウンド等と連携し、全市的な防災力の向上、賑わいの創出、まちの暮らしやすさの向上、行政サービスのコスト削減を目指します。
本庁舎の跡地には、市民サービスや相談のための窓口を残し(主に現在の市役所の1階にある機能)、図書館、学習センターなどを再編し、生涯学習、芸術文化、市民活動、多世代交流などの拠点化を目指します。
◆これらの実現にあたっては、民間活力(PPP/PFIなどの官民連携)の活用により、財政負担の軽減に努めます。

市役所現在地についての検討は置き去りでは?
しかし、移転した場合の本庁舎跡地に整備する機能について一般質問で詳しく尋ねた際には、具体的な施設のあり方についても再編の手順についてもほとんど検討がされていないことが明らかになっています。
例えば図書館。
昨今新設されている公共図書館は、本の貸出し機能重視の従来型から、過ごすスペースとしての図書館、市民にとっての「場」としての図書館に変わってきていると言われています。
しかし、これからの図書館についてのそうした観点での議論はこれまで全くと言ってよいほどされて来ていません。

5カ所まとめてのサウンディング調査が今まさに…
推進委員会においては、本庁舎の整備方針を「全市的な視点で」検討することを含む形で、公的不動産の利活用の検討が行われています。
優先的な検討の対象は、市役所現在地、梶原の野村総研跡地、深沢整備事業用地、鎌倉山の扇湖山荘、岩瀬の資生堂工場跡地の5カ所です。
これら5カ所と扇湖山荘と同種の旧邸宅5カ所について、10月現在、サウンディング型市場調査()が行われています。https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/keiki/saihen_h29pre_sounding.html
(事業内容の検討や公募要件・仕様等を決定する前に、事業に対する考え方や参入意欲などについて事業者との対話等によって直接確認する手法)

PFI/PPPなどの官民連携手法は、鎌倉市では土地の高度利用ができない要件的な厳しさがあり、まずはサウンディングを行って民間事業者の感触を確かめること自体は否定しません。
しかし、市役所をよそに移転させ、その跡地に収益のあがる民間施設と公共施設の複合施設が建つ可能性があることについて、住民への周知はきちんと図られるべきです。
8月開催の推進委員会配付資料に、参考データとして経済波及効果の算定が載っており、あくまで算定のために想定したものではありますが、公共施設4000㎡、民間施設8000㎡という床面積があがっています。民間施設が公共施設の倍の面積という方向性については議論の余地があるでしょう。

住民合意の形成は跡地利用案と不可分
サウンディングで民間企業の意向を吸い上げるということですが、事業の立案には、市としてどう考えるのか、市民のニーズをどう把握するかということが反映されなくてはなりません。
民間が立派な案を示してくれるだろうから、お金が折り合えばそのとおりにすればよいというものではないはずです。

本庁舎移転についての住民合意の形成は、移転した跡地を市民・住民にとって如何に役立つものにするのか、如何にまちの魅力の向上につなげるのかという議論と不可分です。
本庁舎現在地と深沢整備用地について民間が提案する案を参考として示して議論を深めずに「移転ありき」で進めていくことがないように、注意深く見ていきたいと思います。