北朝鮮への断固たる対応要請意見書(9月議会振り返り・番外編)

2017年10月29日 01時04分 | カテゴリー: 平和・人権・多文化共生

衆院選で問われたこと
麻生太郎副総理兼財務相が、自民党が衆院選で大勝した理由について「明らかに北朝鮮のおかげもありましょうし…」と語ったことに注目が集まっていますが、ジョークと受け流すわけにはいかない発言です。
当然、本音が出たと見るべきでしょう。

今回の衆院選について、昭和史研究の第一人者、作家の保阪正康さんは
「安倍晋三首相は米国のトランプ大統領に同調し、9月の国連総会で北朝鮮に対して『対話より圧力』と演説した。
今回(の衆院選)は、この演説への信任投票にもなります。(中略)どんな相手でも交渉の線を残すのは基本。圧力一本やりには、なんの知恵もない。」
と述べています(10月11日 朝日新聞)。

鎌倉市議会の北朝鮮への断固たる対応要請意見書
11月1日付発行の「かまくら議会だより」が各戸配布されています。
4面掲載の「議決された主な議案等」をご覧いただくと、議会議案第6号「北朝鮮の6度目の核実験とたび重なるミサイル発射に対して強く抗議するとともに、北朝鮮に対する断固たる対応の早急な実施を求める意見書の提出について」に、神奈川ネットの保坂、安立と竹田ゆかり議員の3人が反対したことがわかります。
国へ意見書を提出しようとするこの議案は、森功一議員、松中健治議員ほか5名の議員が提出したもので、9月議会の最終本会議で賛成多数で可決されました。

神奈川ネットが、北朝鮮の非道に対して、抗議し、断固たる対応をとることを国に求める意見書案に賛成の挙手をしなかったのは、勿論北朝鮮による核実験やミサイル発射を容認しているからではありません。
同国による、核兵器や核弾頭搭載可能なミサイルの開発およびその脅威を国際社会に見せつける非道は許されるものではないと考えます。
それでも尚、意見書案に反対したのは、2つの理由があります。

意見書議案に反対した理由
ひとつは、議会として意見書を提出するには、それなりの必然性がなければならないということです。
既になされている、達成されていうことについて重ねて求めるのは、必然性のないパフォーマンスに過ぎません。

意見書案では、国が「本年7月及び8月に決定したものを含む我が国独自の措置及び関連国連安保理決議に基づく措置を引き続き着実に実施していく」こと、「国連安保理決議第2375号及び関連国連安保理決議の実効性の確保を図る」こと、「国連安保理におけるさらなる対応を含め、北朝鮮に対し断固たる対応を速やかに実施する」ことを求めています。
これらのことを国はやろうとしていないのでしょうか?
そんなことは全くありません。北朝鮮の行為に対して強い言葉で抗議し、経済制裁による圧力をかけています。

二つ目は、冒頭に述べた『対話より圧力』に関わることです。
首相が国連演説で言及した「圧力」が、軍事的な圧力をも含むものであったら到底容認できません。
トランプ大統領は首相演説に先んじて、米国は北朝鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると述べているのですから、憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使ができるとされている今日、「圧力」が何を意味するかは非常に重要です。

意見書案では、「北朝鮮に対し断固たる対応を速やかに実施」の「断固たる対応」の部分が大変気にかかりました。
そこで、本会議において議案提出者の森議員に、どのような対応を想定しているのか質問しました。
その時の議員答弁にあったのが「対話より圧力」でした。その際、「圧力」が経済制裁に限定したものであるとの言明はありませんでした。

要するに、意見書案は、国が既にやろうとしている、またはやっていることを更にやるように求めるだけのパフォーマンスなのか、軍事的圧力を容認する断固たる対応をせよという物騒なものなのか、とにかくそのいずれかであると判断したのが、反対の理由でした。

議会の姿勢が問われる
鎌倉市議会は北朝鮮に抗議する決議を前期(今年5月までの4年間)において複数回あげてきましたが、現在は、その時とは比べ物にならない程緊張感が高まっています。
だからこそ必要なのは、強い言葉で抗議することではなく、冷静に実効的な安全保障について判断することではないでしょうか。

衆院選挙と同日に神戸市会議員補欠選挙が行われ、前期鎌倉市議だった男性が当選しました。
選挙公報には、「最年少の議員経験」として「これまで議員提出議案約80本の提出」と書かれていました。
議員提出議案と言っても、ごく一部を除き意見書提出や決議の議案で、私見ですが、「反対すると『なぜ反対したんだ』と抗議を受けそうなタイトル」を付けることで賛成多数となったものが多くありました。
私は彼に、自分の実績にするために濫発するのか、と聞いたこともあります。

意見書は、地方議会として国などに対し、本当に働きかけたい、働きかけなくてはならないことを見極めて出すものだと思います。