鎌倉市現本庁舎の津波浸水想定について

2018年11月26日 10時26分 | カテゴリー: 活動報告

11月22日の総務常任委員会では、現本庁舎敷地の津波浸水想定の情報の出し方について、市の姿勢を問う厳しい質問が相つぎました。
本庁舎整備の所管課は、これまでずっと現本庁舎が津波浸水の想定域にあるという前提で庁舎移転の必要性を強調してきましたが、神奈川県が2015年に公表した津波浸水予測図では浸水想定域に入っていなかったからです。

◆従来の書き方から変わった10月の委員会資料
本庁舎機能更新に係る基礎調査報告書(2016.3)、鎌倉市本庁舎整備方針(2017.3)、鎌倉市公的不動産利活用推進方針(2018.3)では、
本庁舎敷地の大半は、神奈川県想定明応型地震による浸水予測において0.5m未満(一部0.5 ~1.2m)の浸水が想定される区域となっており、庁舎1階部分及び地下への浸水が想定される。
と記載され、2013年3月作成の津波ハザードマップの浸水予測図が添えられていました。

これに対し、今年10月24日に開催された第3回本庁舎等整備委員会で防災について集中的に協議した際に配付された資料には、
神奈川県津波浸水想定図によると、現在地における、津波による浸水の想定は、敷地の 南東側に立地する第3分庁舎付近で「0.01m以上 0.3m未満」、「0.3m以上 1.0m未満」及び「1.0m以上 2.0m未満」が混在しています。
とあり、2015年2月の県の浸水予測図が添えられています。
従来の「本庁舎の1階及び地階へ浸水」ではなく、「第3分庁舎付近への浸水」という記載になっています。

総務常任委員会では「県が新しく(2015.2)公表した方の浸水予測を使わずに、本庁舎の建物も浸水するという前提で移転の必要性を説いてきたのは、情報操作である」という批判の声が上がりました。当然の批判です。

◆県の新たな津波浸水予測
理事者質疑では、「なぜ県の新しい想定(2015.2)を採用しなかったのか」との同僚議員の質問に対し、松尾市長は「よりリスクが大きい方で検討すべきであると考えた」とのみ繰り返し、「都合がよい情報だけを示してきたことは容認できない」という反発を招きました。

実は、県が新たな津波浸水予測を公表した2015年2月27日には総務常任委員会が開催されており、午後になって急遽日程追加で公表内容が報告されました。
当時総務常任委員会に所属し、現在も所属しているのは私だけなので、この件について述べたいと思います。

公表内容は、県が想定外をなくすという考えのもと、発生頻度が極めて低いものを含め、最大クラスの津波について浸水予測の見直しを行い、沿岸地域における「津波高さ」または「浸水域」が最大となる5つの地震による「津波浸水予測図」を新たに示した、というものでした。
5つの地震とは、
①「相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)」
②「相模トラフ沿いの海溝型地震(中央モデル)」
③「元禄関東地震タイプの地震」
④「元禄関東地震タイプと国府津‐松田断層帯地震の連動地震」
⑤「慶長型地震」でした。
(①②は国の検討会から新たに示された地震、③④は同検討会により津波断層モデルが変更された地震、⑤だけが津波断層モデルに変更がないが対象となった地震)

この中で、最も驚かされたのが、①の「相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)」の津波想定でした。
津波高14.5mの津波がわずか10分で到達するという想定だったからです。
この時の会議録を見ると、総務の委員が一様に「14.5m・10分」にショックを受けていることがわかります。

県の津波浸水想定公表(2015 2.27総務常任委)のサムネイル

2015.2.27総務常任委員会会議録(抜粋)

◆「よりリスクの大きい方で検討」とは?
一方、2013年3月に市が作成した津波ハザードマップは、県の2012年3月の浸水予測図をもとに、「県想定明応型地震」「県想定慶長型地震」「県想定南関東地震」「国想定 南海トラフ巨大地震」の4ケースを想定しており、浸水の深さの表示は、鎌倉市内の浸水範囲が最大となる県想定明応型地震のものでした。
明応型地震の想定では、現本庁舎の場所が津波浸水予測域に入っています。

上記のとおり、2015年2月27日公表の県の浸水予測図には、慶長型地震(上記⑤)は含まれていますが、この明応型地震は含まれていませんでした。
そのため、市長が22日の総務常任委員会で「よりリスクが大きい方で検討すべきであると考えた」と答弁した時には、見直しがされないまま想定ケースとして残っている明応型地震のことを言っているのだな、と思いました。

しかし、それは好意的過ぎる解釈であることが、その後わかりました。
県のホームページをもう一度確認したところ、県はその約4か月後の2015年6月22日に明応型地震ほか7地震についての津波浸水予測の一部修正を公表していたのです。http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f532798/
この一部修正で、明応型地震においても現本庁舎は浸水域から外れています。

また、この2015年6月22日という日付が曲者です。
2月の県の新たな浸水予測を受けて、6月議会で岡田議員が一般質問をしています(下記 会議録参照)。
「明応型地震」と特定して想定浸水域を質問したのに対し、防災安全部長は「市役所の本庁舎は約半分が浸水区域に入っておりまして」と答弁しています。
この一般質問が行われたのは6月16日でした。
もし、県による津波浸水予測の一部修正が6月22日よりも10日ほど早く行われ、鎌倉市に速やかに報告されていたら、防災安全部長は「実は先頃県の予測が修正され、本庁舎は浸水想定域から外れました」と答弁していたのではないか…。
本庁舎整備の所管課が、それを無視して「庁舎1階部分及び地下への浸水が想定される。」とは書けなかったのではないか、と思うと残念です。

納得しがたい事実を確認してしまいました。

浸水域についての岡田議員一般質問2015.6.16のサムネイル

浸水域についての岡田議員一般質問(2015.6.16)