鎌倉市公共施設再編計画市民ワークショップ

 

サービス(機能)カードを施設カードから移動させる

 2種類のカードを使ってシミュレーション
 老朽化が進み、維持・改修などに多額の経費が必要とされる公共施設の再編を進める鎌倉市は、昨年4月に「鎌倉市公共施設再編計画基本方針」を策定、基本方針を踏まえた再編計画の今年度中の策定を目指しています。621日、「公共施設再編市民ワークショップ」が市役所分庁舎で開催されたので、オブザーバー参加しました。公共施設再編の課題を共有化し、出された意見等を再編計画策定の参考とすることを目的にしたワークショップで、今年2月に次ぐ開催です。今回は公募市民20名、無作為抽出により案内が送付された市民の中から申し込みのあった13名の計33名の参加で、2月同様に同じメンバーで2回持たれます(2回目は628日)。
 公共施設再編計画策定委員会委員の南学氏によるミニ講座「発想転換の公共施設再編」に続き、ワークショップ開始。6グループに分かれたテーブルごとにスタッフ1名(再編計画策定の事務方を担っているコンサルタント会社のアドバイザーまたは市職員)、書記役のアシスタント1名(大学生)がつきます。
 グループ討議の前半は、行政センター、小中学校、老人福祉センターなど8種類の公共施設を取り上げ、施設(建物)とサービス(機能)を切り離して捉えてみようという試み。施設カード(ピンク)上に置かれたサービスカード(黄色)を、場所(住いの近くで提供すべき ⇔ 近くになくても構わない)、費用負担(税金を使って提供すべき ⇔ 利用者に負担を求めるべき)の2つの視点の評価軸に移動させる作業を通してグループ内で意見交換。
 後半は、鎌倉、腰越・深沢、大船・玉縄の3エリアを2グループずつ受け持ち、それぞれのエリアの施設再編を地図上でシミュレーション。前半同様、施設カードとサービスカードを用いますが、今度は、施設カードの色が古い建物と新しい建物とで変えてあります。こちらのシミュレーションは、参加者が身を乗り出して熱を帯びてきたところで時間となり、続きは来週に持ち越しとなりました。

ワークショップの手法
 この市民ワークショップ、まず思ったのは、手法的に一昨年夏に国が実施した、エネルギー・環境に関する選択肢についての「討論型世論調査」に似ている、ということです。年齢や立場が異なる人と討議を重ねることで、各自の意見が当初と変化する例が多く、テーマへの理解が深められる一方、主催者側の意図に参加者の意見が誘導される可能性もあると言われる手法です。もっとも、今回のワークショップでは、施設と機能を切り離した公共サービスの再構築、市民・民間事業者との協働(担い手の見直し)といった方向性は明らかにされているので、意見誘導というのは若干異なるのかもしれません。1週間後の第2回で、どのようなシミュレーションが出来上がるか楽しみにしたいと思います。

鎌倉の実情にあった複合化・集約化を
 公共施設の再編の方針の中でも、実際の再編に大きく影響するのは、施設と機能を切り離した公共サービスの再構築です。「公設・公営の施設運営の発想転換や、施設の他用途への転換複合化・集約化、ITなどにより、必要な行政サービスを効果的・効率的に提供します」と説明されています。特に複合化・集約化がどのように行われていくかが気になるところです。鎌倉市の状況に相応しいやり方で行われるようにしなくてはなりません。
 また、複合化・集約化が一つの方向性としてあるとしても、地域の様々な活動の拠点は小規模であっても暮らしに身近なところで必要です。それは、従来の公共施設の概念とは異なるものであっても構いません。公共施設再編計画が、どこまで具体的な行程表を示すものになるかについても、今後気をつけて見まもっていきたいと思います。