事故による子どもの傷害予防を考える

 

事故による子どもの傷害予防について語る太田さん

事故は、不慮ではなく予防できる
 
131日、鎌倉芸術館会議室で「事故による子どもの傷害予防」についての学習会を開催しました。講師は、“NPO法人Safe Kids Japan”の事務局で、県内を中心に活動する“Safety Kidsいずみ”の代表でもある太田由紀枝さんです。
 日本では、119歳の子どもの死亡原因の第1位は1960年以来ずっと「不慮の事故」です。内訳は、0歳では窒息、1~4歳では交通事故が最多。不慮の事故というと「避けがたい」というイメージですが、米国では子どもの事故を「予防できる(preventable)」と捉え、社会全体が責任を持って取り組まなければならない課題とした取組みが進んでいます。
 
太田さんが強調していたのは、「子どもは、冒険したいという生来の願望を抱いて大人の世界に生まれてくる」ということ。この言葉は、ISO(国際標準化機構)のガイドライン中に書かれており、「子どもは小さな大人ではない」という認識のもとで、子どもにとっての製品や身の回りの物を点検して、傷害の防止戦略を講じなくてはならないと示唆しています。

企業や行政への働きかけを
 
後半はワークショップ形式。マンションの出窓からの転落事故や玩具の誤嚥などの5つの事例について、グループに分かれ、“3つのE”※を念頭において原因と防止策を話合いました。(※環境改善Environment  啓発・教育Education  安全基準・法律づくりEnforcement)
 
事故による子どもの傷害予防は、大人ひとりひとりの「気づき」から取り組むことができます。でもその気づきを個々人に止めているのでは不十分で、製品を作る企業や行政に投げかけていくことが大切だ、ということを参加者皆で共有化しました。

チャイルド・レジスタンス製品
 
21日の新聞によれば、子どもが医薬品を誤って口にする事故を防ぐため、包装を開けにくくする基準を作るよう、国の消費者事故調が厚労省に提言することになったそうです。チャイルド・レジスタンス(子供が簡単に操作できないようにする機能・機構。例えばライター)という考え方も紹介されていました。
 
今後も、子どもを取りまく環境、子どもの育ちを見守る社会の責任について様々な角度から考えていきたいと思います。