何とも不可解!鎌倉市は戸別収集全市実施の方針決定

経 緯
201210月…七里ガ浜、鎌倉山、山ノ内の3地区で戸別収集のモデル事業開始
2013年夏~秋… 戸別収集と有料化をセットで行うとして説明会実施
 
その後 …有料化のみの先行実施に方針転換
2015 4月…全市で「燃やすごみ」と「燃えないごみ」の有料化開始
        
◇有料化後 半年間の戸別収集モデル地区とクリーンステーション収集地区の比較検証
        
7月 市民アンケート実施 
20151029日… 市議会全員協議会で戸別収集全市実施の方針発表


市が行うとしている戸別収集は、こんな中身
①戸別収集の対象は燃えるごみ1品目のみ
(※モデル事業では、容器包装プラスティックと燃えないごみもあわせた3品目) 

②来年4月から従来のモデル事業地区で先行実施し、2017年度から市域を3分割した地区ごとに段階的に導入し、201810月までに全市域を戸別収集にする 

③戸別収集にはお金がかかるので、資源物の収集体制を見直す(=収集回数を減らす)などして、節約に努める  

方針決定理由は、いずれも的外れ
 
市は、戸別収集を実施する理由として①減量効果、②高齢者等やクリーンステーション周辺の方の負担軽減、収集環境の向上等に寄与 などを挙げていますが、全く納得できません。
① 市は燃やすごみの全量を年間3万㌧に抑えるという目標を掲げていますが、試算によれば、戸別収集の全市実施による減量効果は約700で、3万㌧のわずか2%です。
 
一方、戸別収集全市実施による経費増は、収集体制の見直しで低めに見積もっても4億円。費用対効果があまりに悪く、減量施策として位置づけられません。全市クリーンステーション収集だと3億円、戸別収集だと7億円 

 クリーンステーションへのごみ出しが困難な方に対しては、安否確認をかねた「声かけふれあい収集」の拡充をはかる方が有効です。
 
また、クリーンステーション周辺の環境については、有料化実施後の指定袋の不使用率がクリーンステーション収集地区でも0.9%と極めて低い、という調査結果が出ています。排出状況が悪いクリーンステーションは、駅周辺の観光客や通勤者の経路と単身者等が居住するアパートが多いところに限定されています。燃やすごみだけ戸別収集しても、クリーンステーションは残り、通行人によるポイ捨て一掃にはならず、集合住宅では戸別収集は行われません。 

 市民アンケートでは75%が戸別収集に反対
 クリーンステーション収集地区の回答者の75%が「クリーンステーション収集のままでよい」と回答しています。モデル地区では、「戸別収集がよい」が82%ですが、そのうち、1品目のみの戸別収集でよいとしているのは、わずか19%です。 

段階的導入になる理由が、実は大問題!
 戸別収集を全市一律に開始しないのは、収集事業者(組合)から「収集車両や人員の確保に準備期間を設けてほしい」との要望が出ているからだとのことです。人員確保のひっ迫状況は全国的に大変厳しく、人の確保ができるのか、報酬単価は跳ね上がらないのか、現行の収集方法での人員体制からの移行はどうなるのか…懸念は膨らむばかりです。