鎌倉市の市民活動推進条例はラッピング条例?!

現在意見募集が行なわれています
鎌倉市では、11月1日から(仮称)市民活動推進条例(素案)の意見募集(パブリックコメント)が行われています。市民活動団体等で活動している市民委員と市職員からなる条例検討会を設置し、9回の検討会を経て練られた条例素案です。パブコメは市のホームページに掲載されています。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/npo/joreiiken.html
「(仮称)市民活動推進条例」と書きましたが、素案での条例のタイトルは、「自分たちのまちなんだから自分たちでなんとかやってみようという想いを共有して行動するための条例」というものです。
条例の策定を所管する「地域のつながり推進課」は、市民参加型の策定プロセスにこだわる、理念条例・アクセサリー条例にはしない、と明言していたので、私は、7月に開催された「未来創造シンポジウム」に参加し、検討会も1回だけですが傍聴して、策定状況に関心を寄せてきました。

理念と指針の策定についてのみ規定する条例
シンポジウムは、福井県鯖江市の「市民主役条例」をお手本にしている姿勢が前面に出たものでした。
近隣他市にも市民活動推進条例、市民協働条例はあり、他市条例のうまく行っている点、行っていない点を比較検討し、特に市民活動推進条例を市民協働条例に作り変えた横浜市の経緯などを検証することが必要だと考えます。気分を盛り上げることを優先したシンポジウムに参加して、このまま行って、どこまで中身のある条例になるのか、大変気になりました。

その2週間後に傍聴した条例検討会では、市民委員の方たちの熱心な議論とチームワークが印象的でした。
しかし、条例の条文はなるべく短くして、理念をうたうものとする、市の責務や条例に基づいて行う具体的な施策は、条例の条文には書かず、条例制定後に作る指針の中で示す、という方向性で検討されていることがわかったのは、驚きでした。

そこで、9月議会の一般質問では、指針に条例の中身を全面的に委ねることについて質問しました。市民活動部長の答弁は、「条例の組立ては、基本理念、基本理念に沿った指針を策定すること、指針の策定は市民とともに検討する委員会で行うことから成る」ということでした。指針の策定は、条例が2月議会で成立させた後の翌年度に行われるとのこと。(一般質問の内容は、9月19日付記事参照)

指針に委ねるなら、少なくとも条例提案と一緒に示すべき
さて、条例の素案。部長答弁のとおりのものでした。
ユニークなネーミングで、「おや、何だろう」という関心喚起を狙ったというのは、結構ではないかと思います。しかし、問題は「おや、何だろう」と思って条例を見た人が、結局市が施策として何をしようとしているのか、わからないことです。

情勢に対応して様々な施策を繰出していくためには、条例の中に書かないで、指針に書いた方がよい、という考えがあるとは聞いています。また、時間をかけて市民参加で練り上げていくこともよいと思います。でも、もしそうであったら、指針ができるのを待って条例を提案すればよいのではないでしょうか。「2016年度に条例を作りました」と言いたい、ということなのだな、と思わざるを得ません。
条例の制定には、議会の議決が必要ですが、指針には議決を要しません。やはり、もっと中身に関わること、特に予算を付ける施策に関わる事項などは条例に書き込むべきであると考えます。

 言わせてもらえばラッピング条例
市長も、地域のつながり推進課長も、「アクセサリー条例にはしない」と言ってきました。来年度に指針が策定されればアクセサリー条例とは誰にも言わせないものになるのかもしれません。しかし、今年度の段階では中身がない、ラッピングだけのラッピング条例です。

市の事業の進め方を見ると、新焼却施設しかり、市役所本庁舎整備しかり、考え方や枠組みだけ作って市民、議会の了承をとりつけ、具体の議論は意図的に後回しにする傾向があります。
ラッピング条例も同様の発想に思えてなりません。