「新焼却施設をつくらない」という結論を示した全員協議会

新年度予算可決後、中1日での全員協議会
3月26日、市議会全員協議会が市長からの要請に基づいて開催されました。

「安定したごみ処理の確立に向けた方向性について、一定の結論を2017年度末までに示す」という約束を、市長は1年先延ばしにしました。
しかし、1年後である今年3月の予算等審査特別委員会になっても、なお結論を示さなかったため、議会から反発の声があがっていました。
市長が全員協議会の開催を議長に申出たのは、22日夕方、最終本会議の終了後でした。それから業務日としてはわずか中一日で、全員協議会を開き、「結論」を議会に示したのです。
「新年度予算が可決しさえすれば、後はどんなに批判が巻き起ころうが構わない、次の議会は6月なのだから…」という思惑が明白です。

将来のごみ処理体制=新焼却施設はつくらない、という結論
全員協議会の標題は、「将来のごみ処理体制についての方針」でしたが、市長が示した「結論」は次のような内容でした。

①新焼却施設はつくらない
人口減少とごみの資源化技術の目覚ましい向上により、10年後の2029年には(②に示した方法により)家庭系可燃ごみを1万㌧にまで減らし、事業系可燃ごみをゼロにすることが見込まれる。そのため、新焼却施設は過剰な施設となってしまうので、つくらない(2025年以降の可燃ごみの処理は③の方法をとる)。

②減量・資源化施策
・家庭系生ごみ今泉クリーンセンター跡地に生ごみ減容化施設を整備して処理する。小規模で始めて順次拡大し、最終的に全市域の家庭から排出される生ごみを今泉の施設で処理、2029年度の処理量を6,464㌧と試算。

・紙おむつ…2025年度までに紙おむつの資源化施設を整備する

・事業系生ごみ…登録再生利用事業者(鶴見区にできたバイオマス発電のエネルギー回収施設等)への誘導

・事業系の生ごみ以外の可燃ごみ(混合ごみ)…民間の乾式メタン発酵の処理施設への誘導等

③名越クリーンセンター停止後の可燃ごみ処理
 名越CC稼働停止の2025年以降、家庭系可燃ごみは2市1町の広域連携の協議で合意できれば逗子市の焼却施設で処理し、広域連携ができない場合は、自区外の民間事業者に処理(資源化および焼却)委託する。

④生ごみ資源化施設の整備完了までの期間
今泉CC跡地での生ごみ資源化施設整備の期間(2021~28年)のうち、2025~28年度は、広域連携が実現しても自区外処理が発生する

「将来のごみ処理体制についての方針」全文3103_将来のごみ処理体制についてのサムネイル

辻褄あわせの方針、そして振出しに戻った
2018年度末に示すと市長が言っていた結論は、それが新焼却施設の建設を行わない、という内容のものであったとしても、あくまで2市1町の広域連携の実施計画をベースにしたものであると予想していました。

ところが示された方針は、2016年10月に策定された第3次一般廃棄物処理基本計画を骨抜きにするものでした。
そんな方針が、検討過程が明らかにされることなく作られ、議会の会期中には示されず、新年度予算が可決した後に示されたのは、あまりにも不透明な市政運営としか言いようがありません。

報告を受けた後の質疑では次の3点を質問、指摘しました。
① 広域連携の協議が整わず、実施計画の策定が先延ばしになっている状況下で、鎌倉市だけが先走るような方針を示してよいのか。

② 老朽化して延命期間がどれくらいになるかわからず、明らかに鎌倉市とは温度差がある逗子市の施設に可燃ごみの処理を頼ること、技術的にも住民合意も楽観できない生ごみ処理施設での減量化を前提にしていること、これもあります、あれもありますと新たな処理技術を羅列すること等々、方針の実現可能性が確認できないのに、新焼却施設の整備というカードを捨ててしまって大丈夫なのか。

③ 方針にある諸施策の確実性が検証できないのに、ごみ処理基本計画を変えてしまってよいのか

市長寄りの会派には事前に発表内容の説明があったという情報(傍聴者が多かったことからも信憑性がある)も漏れ聞こえてくるところで、尚更釈然としません。