鎌倉市役所本庁舎整備方針、外部監査制度導入の陳情などについて審査しました
6月27日、28日の2日間、総務常任委員会が開催されました。委員会にかかった議案と報告事項の中から、審査された順にいくつか報告します。
鎌倉芸術館大規模改修の手法の変更(報告)
鎌倉市は、2016年度から鎌倉芸術館をPFI方式※の管理運営の中で大規模改修を行う予定でした。しかし、PFIアドバイザリーの業務委託までして市場調査等を行ない、PFI事業者の確保を図ったにもかかわらず、PFI事業者の応募はありませんでした。
そのため、「大規模改修とその後の管理運営を一体化して民間事業者に行わせるPFI方式」から、大規模改修を、設計業務が伴わないメニュー等に絞り込んで市が直接行う方式に変更しました。改修後の管理運営は再び指定管理者に行わせます。改修のための休館期間(2017年1月~9月)に変更はありません。
PFIによる鎌倉芸術館大規模改修は、公共施設再編計画の3つの「先行事業」の一つとして注目されました。しかし、稼働率は高いとは言え、築年数を経た施設の管理運営で採算を取ることの難しさとオリンピックを前にした時期の工事費の高騰が民間事業者の参入を妨げた厳しい結果となりました。
※公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法
一般会計補正予算(議案)
4億7,543万円の増額です。
額の大きいのは、
・鎌倉芸術館維持修繕料(2億8,483万円)、
・稲村ケ崎の下水圧送管破損事故対応の復旧工事の経費の財源として下水道事業特別会計への繰出金の増額(1億35万円)、
・J-LIS※への交付金の増額(4,164万円)、
・市に寄付された景観重要建築物 旧村上邸(西御門)の維持管理費用(1,600万円。うち1,000万円は景観重要建造物等保全基金への積立)、
・深沢地域整備事業の今後の都市計画協議に向けての図書等の作成委託料(1,333万円)。
※マイナンバーの元になる番号の生成と市町村への通知、市町村の委託を受けた通知カードの送付や個人番号カードの作成などの役割を担う機構
由比ガ浜こどもセンターの工事請負契約締結(議案)
保育園、子育て支援センター、障害児放課後余暇支援施設からなり、津波避難ビル機能(避難収容人数約1,800人)も有する施設。
建設工事請負契約の金額7億7,749万円、機械設備工事請負契約の金額1億6,664万円。工期は約1年間の予定です。
職員給与条例の一部改正(議員提出議案)
職員給与から鎌倉市職員労働組合の組合費の控除(チェックオフ)ができるようにしている給与条例を一部改正し、できないようにする条例改正の議案です。
委員会の審査では、現在のチェックオフの仕組みに違法性がないこと、過度な便宜供与とは言えないこと、職員組合のある自治体では通常行われていること等が確認され、採決の結果は、賛成少数でした。
公共施設再編計画の取組状況(報告)
鎌倉市は、公共施設再編計画に基づき、今年度末までに「現在地建替え」、「現在地長寿命化」、「その他の用地への移転」の3つの手法から1つを選んで本庁舎整備方針を決定します。
委員会では、昨年度末に取りまとめられた「本庁舎機能更新にかかる基礎調査」の結果が、調査結果のダイジェスト版を用いて報告されました。現在地建替えと長寿命化の場合、職員数により割り出した庁舎面積を充足させるには、現敷地内での庁舎整備に加え、同規模の床面積の庁舎を敷地外に設ける必要がある、というかなりショッキングなシミュレーションが示されました。ダイジェスト版には工事費の記載はありませんでしたが、確認したところ、移転建替えよりも現在地建替えと長寿命化の方が高額になるという調査結果でした。
今後、本庁舎整備方針策定委員会により策定作業が進められます。同委員会の運営支援をする受託業者のプロポーザル方式による募集も行われているところです(公募期間は6月29日まで)。整備方針が、用地の確保や財源の当てのない「絵に描いた餅」で終わらないよう、今後とも注視していきたいと思います。
外部監査制度のすみやかな実施についての陳情(陳情)
鎌倉市では、税金が適切に使われているのか疑問を抱く事例が多いことを指摘して、専門性・独立性の高い監査が行なわれるよう、外部監査制度の導入を求める陳情です。慣例主義に陥って不正が生じやすい環境を一掃し、税金の使われ方を厳しくチェックしなさい、という市民の要請は当然のこととして受けとめなくてはなりません。
ただ、外部監査は包括外部監査(監査の対象となるテーマは外部監査人が選定)にせよ、個別外部監査(特定の事案についての議会、首長、住民からの請求に基づく)にせよ、外部監査契約に基づいて行われるものです。
包括外部監査は、鎌倉市程度の財政規模の自治体にとっては、契約金額の平均1,380万円は小さな数字ではなく、また陳情の趣旨からは除外されると思われました。一方の個別監査は、監査に付すべき事案が生じた際に、既存の監査委員による監査に付すのか、外部監査に付した方が有効なのか判断すればよいのであって、取りあえず条例だけ作っておくよりも、監査制度全体についてもう少し時間をかけて見ていくことの方が望ましいと考えました。監査事務局からは、外部監査を行うための条例を作った自治体の中で、実際には外部監査契約を行っていないところが圧倒的に多い現状の紹介もありました。
私を含む3名の委員が「継続審査」を、他の3名の委員が採決をすべきとの態度表明であったため、委員長が態度表明に加わり「継続」多数となりました。
委員会にかかった議案も含めた諸議案の採決は、30日午後開催の最終本会議で行われます。