2015年度一般会計歳入歳出決算は不認定

10月4日の本会議をもって鎌倉市議会9月定例会が閉会しました。
神奈川ネットは、2015年度一般会計歳入歳出決算に不認定のダメ出しをしました。少し日数が経ってしまいましたが、その報告です。

個別の事業については、決算等審査特別委員会において多々意見を述べたので、最終本会議での「討論」では、ごみ処理施策と公共施設再編(鎌倉芸術館)への言及にとどめ、決算不認定の理由として、大きく以下の3点を挙げました。
2015年度において白紙請求書問題や生活保護費紛失事件などの不適切な事務処理が発覚し、調査と改善策の検討が行われたものの、年度内に実態解明に至っていない。杜撰な現金管理が長年行われていたこと、また、生活保護費紛失事件において実態解明が進んでいないことについては、組織のあり方が厳しく問われている。

一般会計歳入における収入済み額608億6878万3222円は、前年度と比較すると約8億3千万円1.4%増で、これには消費税率の8%への引き上げによる地方消費税の増収が大きく作用している。しかし、地方消費税交付金の増額分が鎌倉市の社会保障施策の充実にどのように使われたのか明らかでない。使途の説明責任が果たされていない。

国が進めるまち・ひと・しごと創生にかかる施策が、鎌倉市が総合計画に沿って進めるまちづくりと方向性を同じくし、市にとって必要な事業展開になっているか、という点で懸念がある。2015年度はスーパープレミアム商品券の発行事業に約9300万円、Wi-Fi接続環境整備事業に約1800万円が費やされた。国の地方創生交付金の交付決定に間に合うよう短期間で組み立てられた事業で、「取りあえず」の感が否めない。

移住ナビに象徴される、まち・ひと・しごと創生のミスマッチ
 3点目について、少し付け足します。
まち・ひと・しごと創生に関しては、決算等審査特別委員会において「移住プロモーション動画」の製作業務委託料500万円に委員の注目が集まりました。
2015年度実施の交付金では、地方版人口ビジョンおよび総合戦略の策定委託が必須事業で、国が示した関連の「政策パッケージ」の中に、この移住促進のプロモーション動画の作成が含まれていました。
鎌倉市が500万円をかけて製作を業務委託した動画は、現在全国移住ナビhttps://www.iju-navi.soumu.go.jp/ijunavi/ にアップされています。

地方への移住促進は、東京一極集中の是正をはかることを主眼としたもので、首都圏にある鎌倉市の立ち位置は、「移住」では捉えがたいものです。
出来上がった動画は、映像と音楽のみで、言語情報(音声・文字)は全くなく、趣味のよい観光用のイメージ・フィルムといったところです。

2015年度予算の代表質問(2015年2月)では、まち・ひと・しごと創生にかかる施策は鎌倉市の文脈でとらえ直して臨むべきだと指摘しました。
しかし、国が示す枠組みの制約もあり、まち・ひと・しごと創生関連事業のミスマッチ感は大きくなる一方です。
10月17日開催予定の総務常任委員会では、2016年度実施の新たな交付金事業(企業立地活動拠点整備)について報告を受ける予定です。