「避難解除」が進む福島を訪ねて

7月16,17日、「第5回 福島を忘れない!全国シンポジウム/現地見学会」(主催・同実行委)に参加しました。
2014年に行われた第2回から3年ぶりの参加です。

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1日目のシンポジウムでは、川俣町、葛尾村、飯館村の町村議会議員からの「避難解除地区の現状」の切実で厳しい内容の報告に続き、旧知の広田次男弁護士の講演がありました。
広田弁護士は、長年、ゴミ弁連や八ツ場ダム訴訟を牽引してこられ、いわき市民オンブズマンの代表も務められていました。

福島原発被害弁護団 
広田次男弁護士

3.11後は、他の弁護士業務をなげうって(本人弁)、避難者訴訟、避難後の自死事件の訴訟、原発事故直後の作業で被爆した下請け労働者の損害賠償請求訴訟、未払い危険手当請求訴訟などに全力で取り組んでいます。裁判における東京電力の一貫した責任回避の姿勢、原子力ムラ利権の構造がありありと伝わってくるお話でした。

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2日目の現地見学会は、バス2台に分乗して、福島市→川俣町→飯舘村→浪江町→双葉町→大熊町→富岡町→楢葉町→広野町→いわき市をめぐりました。

除染廃棄物(可燃物)の仮設焼却炉の建設ラッシュ(推定24基)

原発事故後、11市町村に広がった避難指示は2014年4月から解除が始まり、今年3月31日には飯舘村と浪江町、川俣町山木屋地区で、4月1日には富岡町で、それぞれの「帰還困難区域」を除いて解除となりました(図参照)。
避難区域が解除されても、帰還する住民は数%にとどまり、特に若い世代の帰還は困難です。
帰還を望む住民には帰還への補償を、避難を継続する住民には避難への補償を続けることは東電と国の責任です。

避難指示区域のイメージ(福島県HP)

 

第1原発が立地する大熊町、双葉町では全域で避難が続いています。双葉町に入ると、バスの車内でも参加者が携帯している線量計が一斉に鳴りだしました。

浪江町・旧請戸小学校付近 住民が戻ってこられない土地に防潮堤建設中

しかし、政府は町域の一部に「復興拠点」を設けて避難解除・帰還促進をする方針です。バスに同乗された大熊町議の方は、復興拠点に31億円をかけて新庁舎が建設される計画について憤っていました。

国が帰還の実績を作ることに躍起になっていること、そのために莫大な税金を投じて公共工事が行われていることを改めて強く印象付けられた現地見学会でした。

飯舘村役場前。近くに幼少中一貫校(工費45億円)、スポーツ公園(23億円)を建設