久喜宮代衛生組合の生ごみ減容化施設
台風が接近する8月8日、鎌倉市議会の視察(希望した市議12人が参加)で、久喜宮代衛生組合(埼玉県)の生ごみ減容化施設(HDM堆肥化処理施設)を見てきました。
生ごみ減容化施設は、鎌倉市が今泉クリーンセンター敷地内に試行的に処理量5㌧未満/日規模のものを整備するとして、2018年度当初予算案に関連経費を計上したものです。
しかし、議会が関連経費を削除した修正予算案を提出、可決させたため、整備に向けた動きは実質的にストップしています。
鎌倉市は、導入検討にあたって久喜宮代衛生組合の施設を参考にしました。
久喜宮代衛生組合のHDM処理施設は処理量4㌧/日
同組合のHDM施設では、微生物を含む菌床を混ぜた木製チップの堆積(約240立米)に、協力家庭1万世帯から収集した生ごみを日量4㌧混ぜ込み、微生物の力で分解処理(24時間で生ごみの9割が炭酸ガスと水分に分解)させています。1カ月に一度、堆積全体の10分の1をふるいにかけ、ふるいに残ったものを堆肥として出荷しているとのことです。
堆積に手をかざすとほのかに温かく感じました。
説明によれば、建屋の温度管理をしなくても、堆積の温度は年間を通じて60~70度に保たれているとのことでした。
堆積からは米ぬかのような匂いがほのかに立ち上っていましたが、悪臭ではなく、建屋には脱臭装置もありませんでした。
HDMシステムは、この施設のように処理量4㌧/日の規模であれば、手法的には大きな問題は生じない、という印象を持ちました。
大規模処理ではハードルが高くなる
しかし、
■処理の規模が大きくなると、微生物による分解の適切なコントロールが難しくなることが懸念される(悪臭の問題の発生)
■撹拌できる堆積の嵩高に限界があるので、処理量を増やすには、建屋の床面積を広くしなければならない
■同組合での収集・運搬・処理費を比較すると、焼却処理が約28,000円/tであるところ、HDMでは約52,000円/t と割高
■生ごみを分別して排出する協力世帯は5割程度
などの課題もわかり、鎌倉市で大規模な施設を整備するハードルは高いと思わざるをえません。
何よりも、鎌倉市の安定したごみ処理施策全体における生ごみ減容化施設整備の位置づけが不明瞭のままでは、導入に向けた具体的な検討はできません。