鎌倉市も在宅避難者支援に前向きな取組みを!

新しい年が始まりました。
鎌倉市議会の今任期は5月14日までです。2月12日スタートの2月定例会では、会派所属議員は新年度予算に対する会派代表質問ができるため、一般質問は行わないとされており、12月定例会で行った一般質問が、今任期最後の一般質問になります。

年をまたぐ形になりましたが、①発災後の在宅避難、➁市民活動の拠点施設、③学校教育における外部連携の3本の柱で行った一般質問のうち、本記事で在宅避難について、別掲記事で学校教育における外部連携について報告します。

被災状況下で自宅で生活を続ける「在宅避難」
 鎌倉市でミニ防災拠点と呼んでいる指定避難所は、市内25か所の小中学校ですが、こちらは、倒壊・損壊・焼失などで自宅に住めない場合に避難生活を送る場所です。大地震が発生したら、まずは身の安全が確保できる場所まで移動し、その後揺れが収まり当面の危険がなくなったら、自宅や親戚の家などで避難生活が行えるかどうかを点検・確認し、自宅等での生活に危険や不安を感じる場合に指定避難所での生活を選択することになります。

避難所の生活環境や運営体制の整備はまだまだ不十分で、今後とも取組みを進めていく必要がありますが、同時に、自宅などの避難所外で生活する市民を支える体制づくりにも目を向けていくべきです。プライバシーの問題などの生活の質の維持の視点から自宅生活が望ましいだけでなく、被災後も自宅で生活を送れる人が多くいれば、その分開設された避難所のスペースに余裕ができ、マンパワーや資機材などを集中させることもできます。

(横浜市ホームページ 抜粋)

横浜市や都下の市区は在宅避難に前向き
◆横浜市の「在宅避難のススメ」
横浜市は、ホームページなどで在宅避難の啓発に努めており、次のような内容を掲載したリーフレットを作成しています。
避難生活場所を避難所としなければならないか在宅避難ができるかのチェックポイント
平時におこなっておくべき自宅の安全対策
在宅避難するために必要な備蓄品
大地震発生後のトイレの使用について、携帯用トイレの備蓄の呼びかけ
情報の取得の必要性について
在宅避難者は指定避難所に避難者カードを提出することで避難者として登録され、指定避難所で食料や水を等の支援物資を受け取れることや、自宅最寄りの給水設備の所在地の確認呼びかけ
―など、網羅的・具体的です。末尾参照

◆世田谷区の「防災ギフト」
在宅避難の推進に向け、「せたがや防災ギフト」という取組みで各家庭の震災時の備えを支援しています。全世帯に配布されたカタログに掲載された防災用品を、付与されたポイント(1人当たり3000ポイント)と交換できる仕組みです。まずは現物を手に取ってもらい、防災意識の向上とその後の継続した備蓄を促そうとするものです。在宅避難で特に備蓄が推奨されるのは、携帯用トイレとも呼ばれる、凝固剤とビニール袋がセットになっているトイレパックです。

◆三鷹市は在宅避難者の支援拠点を指定
三鷹市では、指定避難所とは別に、在宅避難者の生活物資の受け取りや行政・住民双方向の情報収集・連携の場となる「災害時在宅生活支援施設」と名付けた在宅避難者の支援拠点を指定しています。
三鷹市の面積は鎌倉市の半分以下(人口は鎌倉市よりも多い)ですが、▽避難所等の防災拠点から比較的離れた地域にある▽自治会・町内会が災害時の共助の取組みに意欲的な地域である▽町内会の倉庫があるか防災資機材を持っていることなどを基準に、地区公会堂や公園など市内15箇所を在宅避難者の支援拠点として指定しています。末尾参照

国も「人(避難者)の支援へ」考え方を転換
能登半島地震では、避難生活の長期化と共に指定避難所外避難者の状況把握が困難で、支援や情報が伝わらない孤立化の問題が顕在化しました。
内閣府は、自治体が在宅避難者や車中泊避難者等の支援を行うための具体的な取組について整理した『在宅・車中泊避難者等の支援の手引き』 を作成し、自治体に通知しました。この中で、「場所(避難所)の支援から人(避難者)の支援への考え方の転換」という方向性が打ち出されています。

各世帯の自助で必要な物資の備蓄を進めることだけで在宅避難という選択が可能になるわけではない、という視点を行政がしっかり持つことが大切です。
上記『手引き』では、在宅避難者等の状況把握の重要性が特に指摘されています。

鎌倉市も、在宅での避難状況の把握の仕方や、支援にあたる関係者間および広域避難を見据えた自治体間の情報連携の仕方について検討を進めるべきです。市長に対し、在宅避難者を含めた「避難所外避難者」の支援につながる情報連携とネットワーク作りに前向きに取り組んでいくことを求めました。

・・・・・・ 参考URL ・・・・・・
横浜市港北区『在宅避難のススメ』リーフレット
三鷹市 在宅避難者の支援拠点