脱原発への期限を設けるメリット
脱原発による経済効果という発想転換
この夏も原発の稼働なしで電力を確保できる見通しが立っています。それでもなお「脱原発に進むと化石燃料の輸入拡大で電気料金が上がり、企業が国際競争力を失う」として原発再稼働の必要性を説くのは、これまでの事業を転換する気がなく、従来同様の仕事を続けたい企業の論理です。
原発再稼働の新たな規制基準に適合するための対策に電力会社が時間を要している間に、「風向き」を変えさせたい。そのために考え得る方策を駆使していく。脱原発の経済効果をアピールするのもその方策の一つとして有効で、実践例を示していくことが求められます。
「脱原発の経済効果」で気を吐いている論客の一人に大阪大学社会経済研究所教授の小野善康さんがいます。「仮に電気料金が現在の1.5倍になったとしてもコスト増分は日本のGDP(500兆円)の0.75%に過ぎない。逆に脱原発は最も効果の大きい経済政策だ」と主張しています。主張のポイントは、脱原発の期限を設定することにより「経済政策」として成立する、としていることです。
試算によれば、例えば2020年度までに脱原発を進めて再生可能エネルギーの比率を20%まで高めると、再生可能エネルギー創出事業と、エネルギー集約型から節約型の産業への産業構造のシフトで、雇用が30万~50万人、消費が1~2兆円拡大すると見込まれます。10年後、20年後と期限を決めてそこに至るスケジュールを示せば、企業にとってはそれに向けて新規投資をする時間的余裕が生じ、現在脱原発に反対している企業もビジネスチャンスととらえて投資を進めていくことになります。
鎌倉市条例を全国に発信
「風向き」を変えさせるための実践例としては、鎌倉市が昨年6月に施行させた「省エネルギーの推進及び再生可能エネルギー導入促進に関する条例」を活かすことも是非考えていきたい。条例に込めた鎌倉市民の想いと条例にもとづく基本計画による実践を、広く全国に発信していきます。