災害時の水の確保について

広域水道に頼らない自己水源は貴重
4月27日、かながわ市民オンブズマンの第17回総会が横浜市で開催され、私 保坂が事務局長を退任する人事議案が承認されました。
総会議事の後、「川崎の水道住民訴訟」について訴訟代理人の穂積匡史弁護士による講演がありました。神奈川県民は神奈川県内広域水道企業団(神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市で構成)が供給する水道水を飲んでいます。この住民訴訟は、川崎市が1969年に企業団が設立された時に必要だと申し出た配分水量に応じて実際の使用水量に見合わない高額の基本料金を企業団に払い続け、それが同市の水道料金を高くしていることを問題とし、企業団に基本料金を支払わないことを求めるものです。訴訟の発端は、同市が「水余り状況」のもと、企業団の水を買い続けるために、水質もよく安価でリスクの低い自己水源(多摩の地下水)の生田浄水場を廃止することに反対する市民が立ち上がったことです。
さて、注目していただきたいのは、ここで言う「リスク」です。川崎市の場合、企業団からの受水は酒匂川から神縄・国府津-松田活断層を横断して市内浄水場まで50kmに及ぶ導水です。東日本大震災ではこれが破損し、長期にわたって取水が停止されました。

大地震で断水したら…
 鎌倉市の場合は川崎市ほど長い導水ではありませんが、大地震に対しては脆弱で復旧に時間を要する大規模なインフラ、神奈川県内広域水道に依拠している点では同じです。
鎌倉市では、災害時の飲料水として、県企業庁水道電気局が七里ガ浜低区、山ノ内、城廻の3か所の災害用配水地に12,690トンの水(人口17万人に1人1日3リットルを供給して25日分)を確保している他、市も飲料水兼用耐震性貯水槽(4カ所)に400トンの飲料水を確保しているとのことです。また、災害時の断水に備えて井戸所有者に井戸水の提供を依頼、総合防災課が依頼に応じた井戸の水質検査を行っています。市のホームページには水質検査を経た34カ所の井戸のリストが掲載されています(但し、うち18カ所の井戸は停電時には汲み上げができません)。

長期の断水を防ぐために必要な水道施設の耐震化
一方、大地震発生時の長期にわたる断水を防ぐためには水道施設の耐震化が急がれます。厚生労働省によれば、平成24年3月末現在、
全国の水道施設の耐震化率は、基幹的な水道管で32.6%、浄水施設19.7%、配水池41.3%で、地震に対する備えが十分であるとはいえない状況です。神奈川県は基幹的な水道管で耐震化率が50%を超え全国平均を上回っています(写真は現在市内で行われている水道管取り替え工事の掲示板)。

大規模なインフラが使えなくなった時にどうするか。災害時のライフラインの確保は、様々な状況を想定して進めていかなくてはなりません。