沿岸部一斉津波避難訓練~得られた課題を活かそう!
7月3日に実施された沿岸部一斉津波避難訓練について、4日に記事をアップしましたが、その後鎌倉市総合防災課に確認したことを補足します。
経路の混雑度の違いで所要時間が大きく異なる
今回の避難訓練の対象は、津波ハザードマップに掲載されている浸水予測域内の自治会、町内会、学校、保育園、幼稚園、福祉施設、事業所でした。長谷エリアの300人超をはじめとして、坂ノ下、津、塔の辻の自治会・町内会など、参加者が100名を超えたところが幾つかあったとのことです。
他地域に先んじて津波防災に取組んできた材木座エリアは、5月27日に地域をあげての訓練を実施してから日数がさほど経っていなかったため、自治会・町内会でまとまっての参加は一部にとどまりました。今回私が約10分で歩いた材木座保育園から名越クリーンセンターに至る経路は、参加者が多かった5月の訓練時は、歩道の混雑のため20分ほどかかったそうです。
鎌倉市は(株)構造計画研究所に委託して作成した津波避難シミュレーション動画を5月31日からホームページで公開しています。このシミュレーションは、あくまで机上のデータ解析に基づくものです。実地の避難訓練を重ね、その結果を反映させることで非常時に役立つ避難誘導策を講じることが可能になります。そうした意味でも、訓練に参加する人数の多さが意味を持ちます。
参加の輪を広げて「取られた行動」のデータ収集を
今回は、これまで避難訓練を行ってこなかったエリアの参加もあり、津波ハザードマップを活用した自主的な避難訓練という意味ではよかったと思います。しかし、「実際に取とられた行動のデータ収集」という点では、さらなる努力が必要だと感じました。
同じ日時に避難訓練を実施し、市民4万人が参加した藤沢市では、沿岸部の市立小中学校で児童・生徒が各教室から屋上へ逃げる訓練を行ないました。一部の学校では、地域住民の避難も受け入れたと報道されています。一方、鎌倉市では「鎌教研」の日に当たったため、午後の授業がなく、避難訓練は下校時と重なってしまいました。
実際に取とられた行動のデータ収集、という観点では市街地にあふれる観光客を巻き込んだ避難訓練も必要です。課題は多いですが、緊張感をもって着実な実践を積み重ねていきたいものです。