どうする?サーマルリサイクル

ゴミ処理施策で資源化の方針転換?
 
鎌倉市議会9月定例会が10月3日に終わり、既に1週間が経ちました。ゴミ処理施策で大揺れに揺れた9月議会。最終日には、家庭系ごみの戸別収集・有料化計画実施の見合わせを求める決議を賛成多数で可決しました。

市長は、8月20日に生活環境整備審議会に対して新たな焼却施設の建設について、8月22日に廃棄物減量化及び資源化審議会(減量審)に対して「最適な資源化」のあり方について、それぞれ諮問しています。要は、新焼却炉をどこにどの規模で作って何を燃やすか、まだ検討中なのです。現在資源物として分別しているものを将来的に燃やす可能性もあるのに、取りあえず来年の7月から「燃やすごみ」と「燃えないごみ」の戸別収集・有料化を全市で実施する、ということです。戸別収集を始めてしまったら後戻りは極めて難しいことを考えると、進め方の順番がどう考えてもおかしい、という批判が噴出しました。

もう一つ市長が厳しく追及されたのは、市長が減量審への諮問において、従来のマテリアルリサイクル(資源化物として再生利用)に加えて、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するサーマルリサイクルの視点からも「最適な資源化」について検討するよう求めていることについてです。
サーマルリサイクルの検討は、「ゼロ・ウェイストの理念を踏まえ、可能な限りマテリアルリサイクルして焼却を最小限に抑える」という従来の方針の転換を意味するのか、という質問が繰り返されました。市長の答えは、「サーマルリサイクルについては検討を諮問している段階。サーマルリサイクルを取りいれるとしても、何でも燃やしてしまうわけではない」というものでした。上述のように施策の進め方の順番が逆なので、押し問答が繰り返される結果となりました。

エネルギー基本計画策定まで、あと半年
ごみ問題が大きな争点となった9月議会の一般質問で、私はエネルギー施策について取りあげました。もっとも、それはサーマルリサイクルの問題と不可分なものとなりました。

神奈川ネットが主導して議員提案し、昨年7月に施行した「鎌倉市エネルギー条例」は、2013年度中の「エネルギー基本計画」、その後1年以内の「エネルギー実施計画」の策定を定めています。
質問では、再生可能エネルギーの資源が限られた鎌倉市における自前のエネルギー創出策として、今後建設されるごみ焼却炉に発電・熱回収機能を持たせることの意義を訴えました。燃やすごみ減量化という方針を踏まえつつ、焼却炉を新設するのであれば発電・熱回収設備をプラスすべきだ、という趣旨です。焼却量は大きくなくとも発電効率がよい、秦野市のクリーンセンターの事例を示しました。

2010年度の市の施設の電力消費量は約4万MWhですが、このうち電力消費量が最も多いのは下水処理場で、次がクリーンセンターです。今泉と名越を合わせて、市の全施設の消費量の17%にもなります。これを自前の発電である程度補えればとても大きなことです。
廃棄物の焼却による発電は、太陽光発電と比べて発電規模としても引けをとらず、電力の安定供給の観点、電力消費量の大きい施設での電力の自己調達といった観点でも進めていくべきです。新炉についての検討は、松尾市長が生ごみ資源化施設を作らないと決めた4年前に始めてしかるべきものでした。