東電テレビ会議の映像は語る
ディスターブしないで、と吉田所長は怒鳴った
12月8日、「東電テレビ会議 49時間の記録」の上映会(鎌倉・岐れ路の会 主催)が、鎌倉恩寵教会で持たれました。福島第一原発の事故後、東京電力本店と福島第一、第二、柏崎刈羽原発、オフサイトセンターの5カ所を結んで行われたテレビ会議の録画映像を、NPO法人による独立系メディア、Our Planet-TVがまとめたものです。
東電は当初社内資料としてテレビ会議の映像の公開を拒否、その後公開を求める声に押されて公開に転じました。しかし、菅首相の東電来社や2号機、4号機の爆発時などの肝心な部分に限って録音漏れ、録画漏れを言い張り、報道関係向けにも全面公開には応じず、一般向けにはそのまたごく一部をインターネットで公開しているに留まっています。インターネットでの公開は274本のクリップにこま切れにされ、つながりも発言者もわかりにくいものであったことから、Our Planet-TVが49時間の映像を3時間26分にまとめたのがこの作品です。今年9月の「福島映像祭」で上映された後はじめての上映会が、鎌倉での上映だったこともあり、100名ほど入る会場は県外からの参加者も含め満席でした。
本店の幹部に向かって「ディスターブしないでください!」という吉田所長の怒鳴り声が悲痛でした。今の政権の中枢にいる人たちが、短時間でもこの渦中に身を置くことがあったなら、何事もなかったかのように原発推進策を強行することなど到底できないだろうと思わせる場面の連続。どんなに技術が進んで、何重にもセーフティネットを張りめぐらせても、しょせん人間の為すわざ。安全な原発などありえないことが緊迫感を持って伝わってくる内容でした。
特定秘密保護法が成立しても
特定秘密保護法が6日夜に成立しました。政府が反対の声の大きな高まりを振り切り、不十分な国会審議で成立させたことを、次の国政選挙まで忘れずにいます。
この法律の存在が社会の風通しを悪くすることは確実です。でも市民が不必要に自制してしまえば風通しはどんどん悪くなってしまいます。個人情報保護法ができた後、拡大解釈が独り歩きしてしまった時期が長く続きました(今でもまだその傾向はあります)。行政が意図的に個人情報保護を振りかざすこともありますが、市民の側が過剰反応してしまう傾向も多々見られました。秘密保護法についても同様なことがおきないようしたいと思います。
原発関連や軍事転用される技術を有する民間企業の社員は、特定秘密とニアミスする可能性があることでしょう。でも、そうでない一般市民は秘密保護法施行後もこれまでどおり、原発について語り、異議を唱え、情報を入手しょうと努めても一向に構わないはずです。そして、変だな、これまでとちょっと違うぞ、と感じたらそうした事例を共有化して警鐘をならしていくことが大事ではないかと思います。