鎌倉市のごみ有料化―それでも条例改正案再提出を急ぐのか?

 広報かまくら5月1日号に、「今後のごみ処理に向けて」という記事が掲載されています。家庭系ごみの有料化に向け、市議会2月定例会に条例改正案を提案したが、審査の過程で有料化の対象品目が改正案の中で明確になっていない等の指摘があり、改正案を取り下げた、という経緯がまず述べられています。そして有料化については、「引き続き有料化を含めたごみ減量・資源化施策を推進していきます」と結ばれています。
 市は、市議会6月定例会に条例改正案を再提出する意向で準備を進めているようです。
 しかし、その準備が、有料化の対象品目を条例改正案の中に書き込めば足りる、という前提だとしたら、多くの市民から上がった「有料化、待った!」の声を真正面から受けとめていない、としか言いようがありません。

 減量化等推進員から質問が続出
 4月30日、鎌倉市廃棄物減量化等推進員の委嘱式が生涯学習センターで開催されました。委嘱式に引き続いて行なわれた、市の減量・資源化の取組みについての説明会では、推進員の方から、条例改正案の中に有料化の実施のための監視員によるパトロールが盛り込まれていたことに対する強い批判、有料化実施時には指定袋以外のゴミ袋が使われないよう、推進員も監視活動をしなければならないのか、という戸惑いの声、また、ごみ処理費用はあくまで一般会計で賄うべきだ、という指摘等々があがりました。これから1年間地域で活動される推進員の方の多くが、スッキリしない思いを抱えて帰られたのではないかと思います。

 最適な資源化のあり方についての答申素案
 翌日の5月1日には、鎌倉市廃棄物減量化及び資源化推進審議会(減量審)が市役所で開催されました。今回は、6月に同審議会が出す予定の「最適な資源化のあり方について」の答申の「素案」の検討が議題でした。

 素案では、新焼却炉の基本設計策定においてマテリアルリサイクル(製品の原料として利用)の対象とするか、サーマルリサイクル(焼却し、熱エネルギーを回収・利用)の対象とするか判断が注目されていた品目について、次のような方向性が示されました。
・植木剪定材―堆肥化等の現状の方法でよいが、処理業者の確保が必要
・木くず、布団・畳―サーマルも考慮
・製品プラスティック―経費を抑えた処理方法を検討し、新焼却施設稼働時に改めて検討
・生ゴミ―慎重な検討が必要

 焼却施設の規模については、「(燃やすごみ全体の4割を占める)生ごみを含めた量を想定すべきである」との提言が記されました。植木剪定材については、「継続してマテリアルリサイクルすることが望まれる」という判断が示されましたが、製品プラスティック、木くず、布団・畳は、新焼却炉稼働時にサーマルに変更するか改めて検討する、とのことです。平成37年度の推計資源化量を見ると、この4品目の合計は、植木剪定材の10%程度ですが、新焼却施設の規模を策定する上で、このような不確定要素があることは留意しなくてはなりません。
 なお、製品プラスティックは、マテリアルリサイクルの方針が堅持されていますが、その方策は検討段階にとどまっています。