鎌倉市、燃やすごみ2000t減量のための有料化は支持できない
市議会一般質問
6月16日に行った一般質問では、ごみ処理施策と情報システムの管理運営について取り上げました。6月定例会では、ごみ有料化の条例改正案(2月議会で指摘を受けた不適法な構成を修正したもの)と来年1月15日から有料化を実施するのに係る経費約8000万円を含む補正予算案が議案となっています。一般質問は議案に直接踏み込むことができないため、大きく分けて以下の4つの視点から追及しました。
1)資源化の見通しの整合性、実現可能性などについて
5月30日に減量化及び資源化推進審議会(減量審)から出された「最適な資源化のあり方」についての答申の内容は、新焼却炉で燃やすごみの品目と総量の指針となっているか。現行のごみ処理基本計画・再構築(計画期間25~27年度)との整合性、資源化の見通しの実現可能性はどうか。
2)減量化に向けて、有料化よりも先に行うべきことがある
①分別協力率が低い資源化物の資源化率アップをはかる
紙パック、布、容器包装プラスティック、ミックスペーパーの4品目の分別率を一律80%にまで上げると、有料化による減量目標2000t/年に匹敵する1942tの減量になるとの試算。
②事業系ごみの分別の徹底をはかる
事業系ごみの焼却場搬入時の検査の精度アップとともに、一部で不適切物の混入が問題化している排出事業者への分別指導を強化する。事業系ごみの処理手数料の値上げ、生ごみ処理の推進策も合わせ、事業系ごみの減量化の余地は大きい。
3)戸別収集と有料化をセットにした構想は既に破綻
経費が多額になるという理由で戸別収集を選択しなかった逗子市の例からも明らかなように、戸別収集の実施は、コストの面、収集員、車両等の確保の面、施策として市民の支持が得難い点などから極めてハードルが高い。有料化と戸別収集をセットにした現行のごみ処理基本計画の構想は、もはや破綻同然の状況。その状況下で有料化だけを進めるのは無理がある。
4)有料化の目的について
有料化の目的が、排出抑制と資源化物のさらなる分別の促進による燃やすごみの減量であって、燃やすごみの総量を名越クリーンセンターで燃やせる3万t以下にする、というのが喫緊の課題であるなら、新炉が稼働した時点ではその課題は消滅する。ごみ処理施策にお金がかかるからと言って有料化の継続を既定のものとして進めていくのは、納税者である市民の理解を得られない。有料化は、他の策を尽くした上での最後の手段で、目的がはっきりとしなければ導入は許されない。
有料化の目的は?
4)について市長の見解を質したところ、答弁がかみ合わず、暫時休憩になってしまいました。休憩後の市長の答弁は、
「有料化は、ごみ処理基本計画に位置付けられた発生抑制のための重要な施策であり、新焼却施設の規模についても、有料化で減量した焼却量を想定して積算していくため、新施設稼働後においても、継続実施する」
というものでした。
減量審の答申で示された新炉での焼却量の推計は約3万t。「最適な資源化の方針の下、燃やすごみの減量に励むと新炉稼働時に焼却量が3万tに落ち着く」のか、「新炉においても焼却量を3万tとするために、それに合わせて減量化の方策を講じている」のか、結果と前提の関係がわからなくなってきます。
市長の答弁は、とにもかくにも「発生抑制という政策目的が有料化にはあるのだ」というものでした。しかし、排出抑制という政策目的を掲げるにしても、燃やすごみ2000tの減量のための有料化は、広義でいうところの比例原則(※)に適っているとは到底言えません。
(※ 目的と手段の均衡を要求する原則をいう法律用語。よく使われる喩は「雀を撃つのに大砲を使ってはならない」)
観光厚生常任委員会
本日19日、観光厚生常任委員会にオブザーバー参加しました。委員会は、ごみ有料化の条例改正案、補正予算案の審査が夜遅くまで及びました。条例改正案は、2月議会で修正が必要と指摘された箇所のみならず、全体的に適切な構成に整えられており、短期間に見直しを行った資源循環課は、さぞかし大変だったことでしょう。
しかし、施策として有料化を支持できないのは、縷々述べてきたとおりです。
委員会では、「ごみ焼却施設用地検討部会」(生活環境審議会のワーキンググループ)の検討経過報告として、2次選定をパスした候補地4件が明らかにされました。今後、用地部会でこの4候補地に絞った比較検討を行い、その結果を10月頃を目途に審議会に報告する段取りです。用地部会は非公開で開催されていますが、今回候補地選定の中間報告がなされたことは評価できます。