総務委員会、補正予算案の審査に入らず

 鎌倉市議会6月定例会は、6月27日に家庭系ごみ収集処理有料化の条例を賛成多数で可決して閉会となりました。しかし、来年115日からの有料化実施のための経費約8000万円を計上した補正予算案については、総務常任委員会が委員長権限により審査に入らないまま継続審査の扱いとしていました。その際、審査のために必要だとして要求した有料化と戸別収集に関する資料が揃ったので、7910日と補正予算案審査のための総務常任委員会が開かれることになりました。ところが、委員会は両日とも補正予算案の審査に入ることができませんでした。 

審査に入らなかった経緯
 9日の開会に際し、一人の委員から、「昨年10月に市議会が採択した『家庭系ごみの戸別収集・有料化全市実施の計画を見合わせることを求めることに関する決議』には16名の議員が賛成したが、このうちの何人かは先頃の本会議で有料化の条例案に賛成した。また、条例案に反対した会派からは4名が反対討論を行ったが、賛成討論は誰一人行なわなかった。議会議案として可決した決議が無効と見なされるも同然の事態に対し、整合性が図られなければ、審査に入れない」という趣旨の発言がありました。
 これを受けて委員会は審査に入らないまま休憩となり、議長が、決議に賛成して条例案にも賛成した会派と市長に対し、整合性の問題についての意向確認を行ないました。しかし、両者から示された回答について、委員長は認められないと判断。そのままでは、ごみ有料化関連以外の補正予算についても審査に入れません。そこで、ごみ有料化関連とそれ以外とに補正予算案を分割して提示するよう議長から市長に申し入れてもらうことを確認して、17時過ぎに延会となりました。
 翌10日は、朝9時半に議長から市長への申し入れが行なわれ、総務の正副委員長も同席しました。しかし、市長は補正予算案の分割を言下に拒否。会見は数分で終了となりました。

戸別収集・有料化の位置づけ
 
昨秋の決議と有料化先行実施の条例が公布される状況との整合性を巡り総務委員会で問題視しているのは、現行のごみ処理基本計画で戸別収集と有料化がセットで提示されたままであることです。決議は、戸別収集・有料化実施計画の見直しを求めたものです。有料化だけなら決議に拘束されずに進めてもよいでしょ、と言うのなら、行政計画を改定して両者をセットで位置づけているのを解消しなくてはならないはず、という理屈です。 

やはり、新焼却炉建設計画が先 !
 その論点もさることながら、決議との絡みで私が注目するのは、やはり新焼却炉に関することです。決議の趣旨は、「新焼却炉建設用地選定と焼却方式(何を燃やすごみとするか)の見通しも決まらない現段階で家庭系ごみの戸別収集・有料化は実施すべきでない」というものです。
 新焼却炉における「最適な資源化」に関する先の減量審答申で、排出量の多い資源物についてはマテリアル・リサイクルかサーマル・リサイクルかの方向性が示されたため、6月議会での私の一般質問に、環境部長は「新焼却炉のスペックはおおよそのところ決まった」と答弁しました。また、新焼却炉建設用地については、観光厚生常任委員会に第2次選考を通った4候補地が示されました。環境部が決議をないがしろにしている、とは受けとめていません。しかし、それでもなお「新焼却炉について見通しが決まっていない段階で」という決議のポイントは今も揺らいでいないと考えざるを得ません。

 4候補地を公表したことで、ごみ施策は大きなヤマ場をむかえました。今は新焼却施設の基本計画づくりに優先的に力を注ぐべきだと考えます。来年1月からの有料化実施では、実施前の駆け込みのごみ排出で、かえって昨年度よりも排出量が増えてしまうかもしれません。アクションプログラムでは、有料化以外の数々の減量化の取組みも明らかにしています。事業系ごみの処理手数料値上げも含めてできることに取組み、有料化実施を急ぐ必要はありません。

 まずは、ごみ有料化関連以外の補正予算の審査に入れるよう、補正予算案が分割されることを求めます。