補正予算案のごみ有料化にかかる経費と収入

補正予算案のごみ有料化にかかる経費は約8千万円
 鎌倉市議会6月定例会で総務常任委員会に付託され、審査に入らず閉会中継続審査になっている一般会計補正予算案。このうち、来年1月から家庭系ごみの有料化を実施するための経費と収入の見込みは次のとおりです。

歳出           
①報酬 5,019,000 非常勤の普及啓発補助員10名の報酬
②賃金 971,000 減免対象世帯への指定袋交付事務アルバイトの賃金
③費用弁償 853,000 ①の補助員の5か月分の交通費
④消耗品費 1,146,000 不適切排出物回収用コンテナ、警告用看板(既製品)
⑤燃料費 257,000 普及啓発用車両とするレンタル2台と廃車車両の転用1台の5か月分の燃料費
⑥車両修繕費 182,000 普及啓発用車両3台の整備、修理等
⑦電信料 40,000 コールセンター開設費用
⑧保険料 27,000 廃車転用車両の保険料
⑨委託料 70,099,000 指定袋5か月分の作成経費4,400万円+2,610万円
⑩使用料・賃料 756,000  
⑪公課費 7,000 普及啓発車両にかかるもの
 合 計 79,357,000  
歳入           
処理手数料 78,430,000 指定袋の売却益。このうち140万7千円を一般廃棄物処理視閲建設基金積立金に当てる、としている

※⑨委託料のうち、指定袋作成費を除く2,610万円は、
有料化実施前の駆込みでのごみ出し増量への対応、分別のパンフレット作成、コールセンターのオペレーター、ごみの組成調査、委託で作る看板などの経費

 このように、来年1月15日から有料化が実施される場合、今年度の経費は約8000万円、指定袋の売却による収入見込みはこれより約100万円少ない、という補正予算案です(但し、改正条例に盛込まれている事業系ごみの処理手数料の値上げで、指定袋売却益の他に約4000万円の増収見込み)。

 次年度以降、有料化のみの実施だと…
 この補正予算が成立して計画どおり来年115日から有料化が実施された場合、次年度以降の有料化にかかる歳出、歳入は、歳出約1億円(うち指定袋作成委託費が約9000万円)に対し、歳入約35千万円とのことです。戸別収集を行わなければ、収支はプラス25千万円。

 有料化の目的が明確に示されなくては!
 
6月議会の一般質問で、市長は「有料化は発生抑制のための重要な施策であり、新焼却施設の規模も、有料化で減量した焼却量を想定して積算している」と答弁されました。指定袋の価格設定を2円/ℓ(例20ℓの袋が40円)としたのも、低価格にして排出量がリバウンドしてしまった他市の先例を参考にしたとのことです。
 一方で、有料化は処理手数料との位置づけです。しかし、地方自治法227条(手数料)は、「特定の者のためにするものにつき」と規定しており、一般廃棄物の処理が市町村の事務であることとの齟齬は法的には乗り越えられているとは言えない状況です(東京高裁平成22.4.27判決は、一般ごみの場合も特定者性(1対1関係))で把握できるという苦しい判断)。全国の6割の自治体が有料化を実施していることをもって「有料化=処理手数料」を当然視することは、本当はできないのです。
 

 鎌倉市が排出抑制とリバウンド防止で2円/ℓと設定し、有料化の単独実施で年間25千万円の黒字を出すとなれば、なおさら地方自治法227条の「手数料」の概念ではとらえ難くなります。
 それでもなお有料化を実施しようとするのなら、排出抑制という政策目的とは別に財政面での有料化の目的、すなわち「有料化で入って来るお金の使途」を新焼却炉整備計画と絡めて明確に示す必要があるのではないでしょうか。