生活に困窮した人や困難を抱えた若者を支援すること
鎌倉市の実情にあった自立支援に向けて
9月4日(金)に一般質問を行いました。今回は、生活困窮者自立支援、困難を抱えた若者の就労支援、まちづくり政策としての空き家対策について取り上げました。
鎌倉市は4月の生活困窮者自立支援法の施行を受けて、今年度は同法が定める必須事業である「自立相談支援」と「住宅確保給付金の支給」の2事業を行なっています。自立相談支援事業は一般社団法人「インクルージョンネットかながわ」に委託していますが、様々な困難を抱える人たちの支援をしてきたNPO関係者や専門家が集まった団体なので、その経験やネットワークを生かした就労につながる相談支援に期待します。
同法が掲げる任意事業については、鎌倉市は来年度からの実施を検討中です。その中から、直ちに就労することが困難な人の就労に向けた支援や就労機会の提供を行う「就労準備支援事業」と自立相談支援を受けた世帯の子どもの「学習支援事業」について質問し、学習支援を行う場合は、鎌倉市の実状を踏まえて支援の対象に配慮し、居場所の提供や市民協働を視野に入れた検討を進めることを求めました。
生活困窮者自立支援と困難を抱えた若者の就労支援では対象者が同じではありませんが、前者の中にもすぐに一般的な就労を目指すことが困難な人が含まれることから、体験的な就労の場を提供してくれる協力事業者を掘り起こすことは大変重要です。担当課は、市内の事業者を回ったり、市の技能職団体連絡協議会の加盟事業者に協力をお願いするなどの努力を重ねていますが、受入れ事業者の確保に向けては地域のサポーターによる協力体制づくりも目指すべきではないか、と指摘しました。
競争力のある者が勝ち残ればよい?
市長には、大きな観点での質問をしました。
国が非正規雇用の拡大を放置(推進)するのは、競争力のある企業がグローバルな競争に勝ち残ることが日本経済を牽引するという前提にもとづくものだと考えるが、これとは対極に、利益追求と一線を画した民主的な経営によって社会的弱者の支援、平等の実現、地域社会の維持などを目指す「社会的連帯経済」という考え方がある。社会的連帯経済の分野が成長し、認知度が高まることは望ましいと思いますか、という問いかけです。しかし、市長からは明快な答弁はありませんでした。
質問では触れませんでしたが、競争力のあるところが勝ち残れば全体がよくなる、という発想は、国の地方行財政施策においても強まっていると思います。「まち・ひと・しごと創生」にしても、「ふるさと納税制度」にしても、国が決めたルールでの自治体間の競争という側面が否めません。
本来の意味での積極的平和の追求
安全保障法制を大きく変えようとする中で、安倍首相は積極的平和主義ということをしきりにアピールしています。その実質的中身は、同盟関係の強化や軍備増強によって抑止力を誇示することのようです。しかし、ノルウェーの平和学者ガルトゥング博士によって50年近くも前に唱えられた積極的平和主義は、戦争のない状態が「消極的平和」であるのに対し、貧困や差別、資源の収奪や環境破壊、教育や社会参加の欠如といった構造的な暴力のない状態を「積極的平和」と定義し、戦争を引き起こす要因になるそうした構造的な暴力をなくす恒常的な努力を指すものでした。
今まさに進行中の事態への抗議の気持ちを込めて質問の最後に言い添えたのは、生活困窮の問題に社会全体で取組んだり、生きづらさを覚える若者の社会参加を支援することこそが、本来の意味での積極的平和の追求になる、ということです。