ふるさと寄付金について考える(その4)
住民税の原則
これまでふるさと寄付金について様々に述べてきましたが、最後にまとめとして「そもそも」論を記します。
かねてよりふるさと納税に異を唱えている片山善博元総務大臣は、「そもそも住民税などの地方税は、自治体が提供する行政サービスのコストをその自治体の住民が分かち合う仕組みにほかならない。これが負担分任の原理である。ところが、ふるさと納税では、住民が行政サービスなど提供してもらっていない自治体に寄付することによって、住所地での住民税の相当分を免れ、その結果住所地の自治体は減収を余儀なくされる」という意見です。私も8月25日の総務常任委員会で同趣旨の発言を行ないました。
自治体間の財政格差を自治体間競争で縮めるのは適切か?
少し前に遡りますが、10月11日の神奈川新聞の社説「ふるさと納税争奪 税源移譲こそ忘れずに」は、全国の自治体による取組みを、「地方活性化に寄与し、地方の税収対策の一助にはなる」とした上で、「地方税財政制度の観点からは、不十分な地方の税財源を自治体間で奪い合う構図にも見え、違和感を覚えざるを得ない。都市と地方の財政格差は地方交付税の見直しで対応すべきであり、国から地方への税源移譲を忘れてはならない」と指摘しています。本質をついた視点ではないでしょうか。
鎌倉市はこの視点を大前提として踏まえた上で、節度ある効率的な運用を行ない、市の魅力を外に向かって発信してほしいと思います。