避難行動要支援者意向確認書の送付時のミスの背景は?

 昨日の記事の続報です。
避難行動要支援者支援システムからデータを打ち出して鎌倉市内全域の対象者に送付した「意向確認書」に送付漏れなどがあったことについての報告が、10月28日の総務常任委員会の冒頭で防災安全部次長からありました。全22,269 件の発送において、送付漏れ(446人)、対象者の該当情報の誤記載(331人)、対象外の高齢者への送付(1,041人)が確認されました。配付された報告文書は次のとおりです。避難行動要支援者意向確認 送付漏れ等報告

 避難行動要支援者支援システムは、住基データ、障がい者データ、介護保険データ、既存の災害時要援護者登録データ(手挙げ方式)を取り込んで構築されています。障がい者データ、介護保険データとファイル形式が違ったこと等に起因したデータ間の連携ミス、出力時の操作上のミスなどが重なったことが、事故原因として挙がっています。

 鎌倉市では、システム完成後、試行錯誤しつつも避難行動要支援者対策に取組んできました。この間、進み具合が遅いと何度も苦言を呈してきましたが、担当課に「やる気」がなかったとは思っていません。モデル地区での実施を踏まえて、ようやく全市の対象者に名簿登載の意向確認文書を送付したところで大きなミスが起きてしまったことは大変残念です。このミスが単なる発送時のミスではなく、ミスが発生してしまうような状態が放置されてきたことに起因していることが更に残念なところです。

 所管課が責任をもって業務を行うべきであったことは言うまでもありません。そして、報告文書に記載されている内容以上のことはわかりませんが、今回の事故を受けて私が感じたことは、次の3点です。
防災の分野に、取組むべき仕事に適切に対応できるだけの数の職員を配置する必要がある。
システム関連の専門家などの外部のアドバイザー(独立系のコンサルタントなど)による、システムの導入・運用についての助言体制を作るべき。
国は、避難行動要支援者名簿の作成を自治体に義務付けて、20138月に「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」を発表した。しかし、それ以降は自治体任せで、技術的な支援や情報提供等ほとんどしていない。国の無責任ぶりも問題。