表現の自由についての鎌倉市議会意見書と東京地裁判決

2月定例会には、議員提案による意見書提出議案が11件、決議議案が3件(特別委員会設置議案を除く)と、多数かかりました。
意見書提出や議会決議の議案は、①取り上げなくてはならない具体的な事案があり、②時機を得ていて、③議会内に提案内容の周知が図られていること などが提出の際の要件だと私は考えますが、数多い中には要件合致が不徹底な例も見られました。

表現の自由の堅持と保障を求める意見書

表現の自由の堅持と保障を求める意見書 (クリックして拡大)

提出議員への質疑と討論を行いました
特に不徹底と思われた議会議案第18号「国会及び日本政府に対して表現の自由の堅持と保障を求める意見書の提出について」に対しては、去る3月2日の本会議で提出議員への質疑と反対討論を行いました。意見書のタイトルからはわかりませんが、文面を読むと「表現の自由に対しての法的な事前抑制の動き」に焦点を当てており、しかるにそれが具体的にどんな動きを指すのかの説明がない意見書です。

質疑と討論は、市議会ホームページの「インターネット議会中継」で見られます。http://www.kamakura-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=3228 (46分50秒間と長いですが、質疑と言うより、議会では滅多に見られない議員間討論です!)

波紋を呼んでいる東京地裁判決
折しも3月15日、コンピューターグラフィックスで本物そっくりに裸の女児を描いたら児童ポルノになるか否かを争点とした裁判で、東京地裁が有罪判決を下しました。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160315/k10010444361000.html
意見書が、この裁判のような事例を念頭においたものであったことは、文面からはわからず、本会議での質疑でようやくその一端が明らかになったものです。「表現の自由」は憲法で保障されてはいても、常にどんな表現をすることも許されるとまでは言えず、少なくとも意見書中の「表現の自由の絶対的厳守」いう表現が過剰なものであったことを示唆する判決であったと受けとめました。