モデルとしての藤沢型地域包括ケア
8月24日(水)午後、(公財)かながわ国際交流財団※主催のフォーラム、「格差・貧困の拡がりと家族・コミュニティのあり方~県内自治体での実践を踏まえて」に参加しました。
(※財団の所在地は湘南国際村ですが、この日のフォーラムは、関内の横浜情報文化センターで開催)
サブタイトルに「県内自治体での実践」とあるとおり、片山睦彦・藤沢市福祉部長と石黒知美・鎌倉市市民健康課長による2本立ての講演でした。
http://www.kifjp.org/wp/wp-content/uploads/2016/07/forum01.pdf
藤沢型地域包括ケアとは
藤沢市福祉部長からは、藤沢型地域包括ケアの実現に向けた取組みについてお話を伺いました。
藤沢市が掲げる取組みの理念は、次のようなものです。
●高齢者に限らず、子ども、障がい者、生活困窮者などすべての市民が対象
●行政と多様な主体との協働
●日常生活圏域ごとの特性・課題やニーズに応じた地域づくり
●支援を必要とする人が、身近な地域で確実に支援を受けることができる相談支援体制をめざす
(社会的孤立や制度のはざ間の問題にも対応)
そして、「藤沢型」を推進するため、相談体制の強化として、
①複合化・困難化したニーズに対応できるよう、福祉事務所、福祉部内に福祉専門職を多数採用
②生活困窮者自立支援窓口として「バックアップふじさわ」(市直営)、「バックアップふじさわ社協」(市社協に委託。コミュニテイ・ソーシャル・ワーカーを配置)を開設
などを行っているとのことです。
藤沢型地域包括ケアは、「マルチパートナーシップによる新たな支え合いの地域づくり」を基盤に据えているとのことです。
広範な庁内組織の連携、専門性の確保、多様な主体(地域の関係機関、活動団体、民生委員…)のネットワーク化をはかっていることが特徴的な、骨太の構想です。
社会的包摂
一方、鎌倉市市民健康課長からの報告は、複合化・困難化した問題を抱えている人の近隣とのトラブルの事例をもとに、困難を抱えて孤立化した人を地域コミュニティとして受け入れるとはどういうことか、という問題提起をするものでした。
簡単な解決策は見つけられない事例でしたが、当事者の孤立化が事態を悪化させていく構図がよくわかりました。
講演のタイトルは、「社会的包摂」でした。このキーワードが認知されて随分経ちますが、社会のあり方は、逆方向の「孤立化・排除」に向かっているように見えてなりません。
困難を抱えている人の周りで生じる動きが、社会的包摂に向かうものなのか、排除に向かうものなのか、常に敏感でなければならないと思います。
<藤沢型地域包括ケアについては、同市のホームページに概要が掲載されています。
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/hukusi2/fujisawagata/fujisawagata_care.html >