鎌倉市役所は「移転」で整備

築48年の鎌倉市役所本庁舎は、大規模災害発生に災害対応の拠点とするには強度が不足しており、執務スペース不足も深刻化していること等から、「現在地建替え」「長寿命化」「別の場所への移転」の3つの選択肢から1つを選んで整備方針を策定する検討がされてきました。

先月、検討にあたった策定委員会から、「移転により防災拠点機能の充実を目指す」という内容の鎌倉市役所本庁舎整備方針(素案)が示され、2月22日まで意見公募手続(パブリックコメント)が行われています。広報かまくら2月1日号にも特集記事が組まれて、ようやく多くの市民の知るところとなりました。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/keiki/pubcomme_honchosya.html

移転先は事実上絞り込まれている
パブコメを経て2016年度中に策定するのは、あくまで整備方針であって、このまま移転に決まったとしても、移転先までを決めるものではない、とされています。
本日2月15日から始まった2月議会の新年度予算代表質問でも、移転先の可能性についての質問に対し、市長は「具体的候補地の絞り込みは新年度」とのみ答弁していました。

しかし、素案には「本庁舎の整備候補地の想定」という章立てがあり、30,000㎡が必要とされる本庁舎の機能を持ってくることができる市有地として、深沢地域整備事業用地(JR跡地のうちの行政用地)と梶原の野村総合研究所跡地の2箇所が抽出されています。
また、深沢の用地の方が野村跡地を上回る総合評価も紹介されています。

移転先の情報不足でも、現在地建替え不可で移転を決める?
要するに、今年度行われてきた検討によって、現在地は制約が多く、建替えがいかに困難かということ、コスト的にも他の整備パターンよりも高くつくことが確認された、と言っているわけです。
しかし、移転という方針と移転先が抱える不確実性や課題を具体的に検討し、情報として示しているかと言えば、そうではありません。
現在地建替えは無理だから移転で整備、という方針だけ先行して決めて、移転先の諸課題の検討は新年度以降に行うという進め方には、やはり危うさを感じます。

また、特に鎌倉地域において「これからどうなるの」という懸念が広がるのは必至です。
市には、丁寧な説明責任とオープンな議論を求めます。

(※本庁舎整備については、この後何回かに分けて記事を載せていきます。)