インバウンド対応、観光協会、DMO…& 花火大会の経緯から振り返った交付金事業

6月15日に行った一般質問の主な質問とそれに対する答弁です(答弁はその場ではメモしきれず記憶をたどって書き起こしたため、簡略です。週明けには市議会のホームページで中継録画をご覧いただけます)。

1 インバウンド(訪日外国人観光客)対応とは
 鎌倉市の第3期観光基本計画(2016年3月)では、東京オリンピックを見据えて進展が見込まれるインバウンドへの対応を図るとして、大会開催までに取り組むべき19の重点施策が掲げられているが、観光客の増加を図ることは、さらなる混雑で市民生活に支障を招き、観光の質も低下させるおそれがある。
インバウンド対応というのは、観光客数の増加をはかるものなのか。

 観光は国の基幹産業である。
多くの外国人観光客が鎌倉を訪れるわけだから、その対応は必要。増加をはかるのか、ということについては、観光客の総数は現状維持の方針であるが、人口減少と高齢化で日本人観光客は減るので、インバウンドの一定の増加がないと現状維持にならない。

【意見】オリンピックを契機に、これまで手をこまねいてきたこと(交通渋滞や街中の混雑への対策、案内表示の整備 等々)を手がけるのはよいが、市民生活と観光振興の両立という従来の方針から踏み外すことなく進めて行くべき。

 

2 DMO(Destination Management/Marketing Organization)の方向性
 19の重点施策のうちの一つがDMO(地域全体の観光マネジメントを一本化する、着地型観光のプラットフォーム組織)の構築である。
市が2016年度にDMO設立準備事業として業者に委託してまとめた報告書では、DMOのあり方として、
①観光協会を事業主体としたDMO
②観光協会が委託・管理するDMO
③観光協会と商工会議所が出資するDMO
④観光協会及び商工会議所から独立した新たな組織としてのDMO の4パターンが示された。
一方、観光協会から5月19日に提出された文書には、「観光協会を主体としたDMOを平成30年度中に形成する」と書かれている。
市としてはどう考えているのか。

 観光協会の意向は受けとめているが、今後4つのパターンの検討を行っていく。

【意見】DMOは、地域の観光関連事業者だけでなく、商工業関係者、農林水産業者、市民活動団体なども新たな担い手としてまきこんでいく組織とされており、これまでの検討における「まきこみ」は不十分。
民間がやるべきこと、行政がやるべきこと、DMOが担うことの役割分担や、そもそものDMO設立の必要性も含め、整理していく必要がある。

 

3 企業活動拠点整備事業の実施結果をどうみるか
 国の地方創生加速化交付金を得て2016年度に実施された企業活動拠点整備事業は、
「鎌倉で事業経営するモデルの情報発信や、住宅があった場所がオフィスになることの効果を近隣住民が感じられるような地域貢献事業」であるソフト事業(上限300万円)と
「オフィス開設に要するリフォーム、ICT化、オフィス用備品の整備」などのハード事業(上限299万9,999円)のセットを内容とし、
4事業(4セット)が実施されて、合せて約2370万円が支払われた。
事業実施による波及効果はあったか。2017年度実施の市費による企業活動拠点支援策の先行モデルとしてはどう評価するか。

 開催されたイベントの参加者数や、事業により開設されたシェアオフィスの利用状況など。(答弁では事業の検証結果は示されず。)

 

4 企業活動拠点整備事業の補助対象事業の選定はよかったのか
 補助金が交付された4事業のうちの2事業は同じ法人によるものだった。
1法人が提案した2事業を採択したこと、内容を見ると2事業と言い難いこと、仮に2事業だと認めたとしても、一本化して圧縮されるべき経費がそうなっておらず、交付額が上限額になっていることを、市としてはどのように考えるか。

 補助金交付の要件を満たしているので、問題ない。

 

5 花火大会の経緯から振り返ると不透明さが増す
 鎌倉花火大会については、市長と、大会の新実行委員会で重要な役職を担うことになる少数の人の間で短期間に話が進められて一旦中止と発表された7月開催が可能になった。
しかし、その決定過程は不透明であると言わざるをえない。
新実行委員会の立上げに協力し、クラウドファンディングでの1千万円の調達にも寄与された方が代表取締役を務める法人が、企業活動拠点整備事業で2件の補助金(約1200万円)を交付されている。市長との間での「持ちつ持たれつの関係」が指摘されても仕方がないと言えないか。

(市長) 補助金交付事業の選定結果と花火大会の経緯は関係ない。言及のあった法人には地域貢献をしていただいている。

【意見】市長の姿勢を問題にしている。説明責任を十分に果たせない市政運営はすべきでないと考える。

 

6 (仮称)市民活動推進条例
最期に、現在市の取組み等を盛り込んだ条例指針を策定中(6月22日からパブコメ開始)の(仮称)市民活動推進条例に触れました。
これまで、市民活動推進条例をつくるなら、行政と民間との多様な協働の可能性を視野に、必要なルール化も織り交ぜたものにすべきと訴えてきましたが、そのような内容にはならないようです。

追記:鎌倉市議会のホームページに一般質問の中継録画がアップされました。
http://www.kamakura-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=3915