問題続出を受けて、公文書廃棄のルールの見直しへ
次々と文書管理をめぐる問題が
7月7日、内閣府の公文書管理委員会(委員長 宇賀克也・東大大学院教授)において公文書管理法のガイドライン(指針)を年内に見直す方針が確認されました。
行政文書を国民共有の知的資源と位置づけ、適切に管理し、その内容を後世に伝えることを国の重要な責務とした「公文書管理法」は2011年4月に施行されました。
しかし、昨年以降でも、
●廃棄して不存在とされた南スーダンPKO日報のデータが保管してあったことがわかり、「隠ぺい」と批判された問題
●森友学園への国有地売却過程の記録が、文書ファイル管理簿に載らずに廃棄が容易な「保存期間1年未満」の文書に分類され、廃棄された問題
●政府が「存在しない」と言っていた、加計学園ありきの獣医学部新設の経緯に関わる文書が文科省で見つかったにも関わらず、政府が「個人メモ」と決めつけようとしている問題
など、公文書の管理が問われる事態が相ついでいます。
公文書管理法ガイドラインの見直し
見直しの柱は、ガイドラインに示された文書の種類や性格に沿って分類できない文書があり、その扱いが各省庁の裁量に委ねられてきた現状を改めて、安易に廃棄されている「保存期間1年未満」の文書を減らすことだとされています。
一方、加計学園問題をめぐる官房長官発言などから、見直しの中で公文書の範囲を狭める方向性が出てくることを警戒する声もあります。
公文書(行政文書)に該当するか否かの線引きが、政府の意向で後退することがないよう、公文書管理委員会での今後の議論から目が離せません。
公文書管理条例をつくる、運用状況を常に点検する
公文書管理は、自治体にとっても大きな課題です。
公文書管理条例を制定しているのは、全国でまだ19自治体で、公文書館を有しているところばかり、という現状です。
鎌倉市は、これまでの議会答弁の中で、条例を制定するという方針は明らかにしていますが、具体的な進捗は見られません。
情報公開も公文書管理も、一定レベルまで体制を整備したから…と気を抜くと、そのレベルは保てません。
常に運用状況を点検して後退を防ぐ、そしてさらに進めていく努力が必要です。
学習会「公文書はだれのもの」を開催
神奈川ネットワーク運動・鎌倉では、8月10日(木)18時30分から鎌倉生涯学習センターで、学習会「公文書はだれのもの?」を開催します。
講師は、日本現代史の研究を通じて公文書管理に詳しい、長野県短期大学助教の瀬畑源さんです。