ギャンブル依存は対岸の火事ではなく…横浜市長選を明日に控えて

カジノの「導入を検討」?

明日7月30日は横浜市長選挙投開票日。カジノ誘致反対を前面に掲げる新顔の伊藤大貴氏、長島一由氏に対し、現職の林文子氏は「(カジノの)導入を検討」と明言を避け、争点としない戦略です。
横浜市は、カジノを不可欠な要素とするIR(統合リゾート)の誘致により山下埠頭を再開発する計画を2015年9月の段階で既に策定し、山下埠頭の土地や建物を海運業者等から回収して更地にする作業を進めています。にもかかわらず現職市長が「導入を検討」としか言わないのは、おかしな話です。

カジノ誘致は、地域経済へのプラスの波及効果が極めて疑問視されるだけでなく、ギャンブル依存症の増加を招き、依存者の回復を妨げます。厚生労働省が2014年8月に公表した調査結果によれば、日本におけるギャンブル依存症(ほとんどがパチンコ・スロット依存)の有病率は4.8%で、ドイツの有病率1.2%、米国の2.3%、オーストラリアの2.6%等、他国と比べても既に深刻な状況です。カジノがこれに拍車をかけることになるのは必至です。

今後、住民監査請求も
こうしたことから、既にいくつもの市民団体が、横浜にカジノは要らない、つくらせないとして、反対の声をあげています。

1997年から行政の無駄遣いの監視を行っている「かながわ市民オンブズマン」では、自治体がカジノ業者に公有地を提供して、積極的にカジノ事業の条件整備を行うことは、精神保健福祉法第2条の定める「精神障害者発生予防義務」に違反するとして、住民監査請求を提起する準備を進めています。
7月31日~8月31日の期間で請求人(横浜市民に限る)を公募、8月9日には監査請求に関心のある方を対象とした説明会を開催します。
⇒詳細は、「横浜にカジノをつくらせない・かながわ市民オンブズマン」というfacebookに。

 

鎌倉市では、依存症予防教育推進の取組み
ギャンブル依存症の有病率とカジノからの距離との関連性が、米国連邦議会が過去に行った調査で明らかにされたことが東京新聞に報道されています。
同記事によれば、「カジノから半径16キロ(10マイル)以内の住民は全米平均に比べ依存症の発生率が2倍になった」そうです。横浜市に隣接する鎌倉市も「他所事ではない」ことになります。

依存症に関連した動きとしては、鎌倉市議会の6月定例会に示された補正予算案の中に依存症予防教育推進事業の経費(80万円)ありました。
文部科学省が募集する委託事業に鎌倉市が応募して採用されたものです。
文科省が示した枠組みは、物質依存(薬物、喫煙、飲酒)または行為依存(ギャンブル、インターネット)で、鎌倉市は行為依存の予防教育で手を挙げました。
秋以降、市立中学校で主にスマホ(インターネット)依存を取り扱った講演会を開催、また中学生の保護者等を対象とした講演会はスマホ(インターネット)依存に加えてギャンブル依存にも触れたものになるようです。
スマホ漬けの生活については、メディア・リテラシーの視点からの対策が必要ですが、依存症という視点でも考えていこう、という取組みです。
スマホ依存もギャンブル依存と同じ行為依存に位置付けられていることを子ども達自身、そして見守る大人達が知らなくては…と思います。