鎌倉山・扇湖山荘 庭園の一般公開

11月24、25日と鎌倉山の扇湖山荘の庭園が一般公開されたので、行ってきました。
扇湖山荘は、製薬会社で財を築いた長尾欽彌氏の別邸として、昭和9年に相模湾を望む鎌倉山の南側斜面に建てられました。
本館は、飛騨高山の民家を移築・改築したもので、本館より高い場所に伏見亭(別棟茶室)があります。

扇湖山荘本館

1981年に三和銀行が取得し、1999年3月まで「研修所」として使用されていましたが、2010年 10 月に三菱東京 UFJ 銀行から鎌倉市へ寄付されました。建物は長期間使用されていないことから、老朽化が進んでおり、耐震改修も未実施です。
庭の一般公開は春・秋に行われていますが、建物内は本館1階の土間部分までしか入れません。
しかし、外観と土間から見ただけでも、昭和戦前期の和風文化を伝える貴重な建物、様式、内装であることがうかがい知れます。
広大な庭は趣の異なる4ヵ所からなり、晩秋の日差しにきらめく海の眺めがとても綺麗でした。

土間から見た室内。欄間の透かし彫りなど美しい内装。

扇形に切り取られて見える海

鎌倉市は扇湖山荘の保全・活用を検討する中で、2014年秋に民間事業者からアイデアを聞く「対話」を実施しましたが、具体策は見出せませんでした。
今年10月には、公的不動産(市有地)の利活用に向けて民間事業者の参入意向を確認する「サウンディング調査」を行っています。
調査対象とした公的不動産の中に、市役所現在地や深沢国鉄跡地内の市有地などと共に、この扇湖山荘が含まれています。
民間事業者が関心を示して何か提案があったのかどうか…。間もなく調査結果が公表される予定です。

私が訪ねたのは昼前の時間帯でしたが、来訪者で賑わっていました。係りの人から「昨日の午後で350人くらい」と聞きましたが、好天に恵まれた今日はもっと多かったことでしょう。
「市民の財産」として、維持・保全、活用の途が開けるのか、気になるところです。

外から見た居室。暗くてよく見えないが竹の節の欄間。

 

 

 

 

 

 

伏見亭(別棟茶室)