「空き家」を地域の居場所に~七里ガ浜東・かもめサロン

4月14日、七里ガ浜東の住宅地で住民の憩いのスペース「かもめサロン」を運営している竹内さん、太田さんのお二人からお話をうかがいました。

コーディネーターの太田さん(左)と竹内さん
 (ネット事務所にて)

自治会による「活用目的」の空き家の調査
七里ガ浜自治会(約1600世帯3千人)では、2018年の自治会設立50周年の節目に向けた取組みとして、2016年に空き家調査を行いました。
目視で自治会のエリア内の家屋を調べたところ、1650軒のうち約110軒が日常的に居住者がいない家屋と推定されました。
地域で活用できそうな10軒を選んで法務局で登記上の所有者を調べ、自治会で活用させてもらえないか書面で問合わせをしました。
その結果、地域のために貸してもよいと回答してくださった方があり、2017年11月のかもめサロン開設に実を結びました。

多世代交流をめざすコミュニティ・スペース
開設以降、3人のコーディネーターが管理・運営を担って、毎週水曜日の10時~16時にオープン。来所時に支払う施設使用料は100円で、コーヒー・紅茶を注文して自宅のリビングのようにゆっくりとくつろぐことができます。1日の延べ利用者は多めの日で20人程くらいです。

水曜日のサロンの他に、月に1回程のペースで主に土曜日に文化的なイベントも行っているそうです。これまでアロマテラピーのワークショップ、認知症や防犯、救急の講座などが開催されました。
かもめサロンは、世代を問わないコミュニティ・スペースをめざしており、今後はイベントのテーマにも工夫を凝らして、子どもや子育て世代の利用もはかっていきたいとのことでした。

(かもめサロンfacebookより)

開設初期費用のバックアップ
お庭の写真からもわかるように、日当たりに恵まれた居心地のよいお住まいを提供していただいての開設です。
それでも長年にわたって居住者がいらっしゃらなかったため、開設前には庭や室内の手入れ、荷物の片付け等が必要でした。
その経費は、自治会がサロン開設を自治会設立50周年事業と位置づけて、1年間に収集したアルミ空缶の売却益20万円を支度金として提供してくれたことで賄えたそうです。

神奈川ネットでは、空き家の地域貢献型活用・福祉転用型活用を広めたいと考え、かねてから鎌倉市に行政としての支援体制づくりを求めています。
そうした利活用には、空き家の物件とその情報、担い手、お金(特に開設に向けた初期費用)が必要ですが、かもめサロンは自治会が初期費用をバックアップすることで実現しました。

鎌倉市は、2017 年3 月に「空家を増やさないこと」を最重要課題とする空家等対策計画を作り、2018年度は空き家管理システムの整備を進める予定です。
しかし、空き家の利活用についてはこれまで大きな進展は見られません。かもめサロンのようなモデルを参考にして、各地で展開の可能性が広がることを期待します。
かもめサロンのfacebook https://www.facebook.com/kamome.salon/

【参考:空き家の状況】
■総務省の調査では、空き家は毎年20万戸のペースで増加し、2020年には全戸で1000万戸の大台に達し、空き家率は15%と予想されている。
■総務省が5年に1度実施している「住宅・土地統計調査」の2013年度の結果では、鎌倉市の住宅総数 81,950 戸に対して、 空き家住宅数は 9,630 戸で、空き家率は 11.8%
■鎌倉市が市内の戸建て住宅(2015年10月現在)を対象に行った「空き家実態調査」では、空き家戸建住宅と判定されたものは、113 戸。
準空き家戸建住宅(週1回~年1回程度の使用や管理)は、196 戸。
判定保留戸建住宅(空き家の可能性あり)は、799 戸。