新しい公共空間として魅力的な武蔵野プレイス
2011年7月に開館した武蔵野市の「武蔵野プレイス」は、2016年度の年間来館者数が195万人に上り、新しいスタイルの公共空間として全国的な注目を集めています。
「プレイスフェスタ2019(7月4日~15日)」が開催中と聞き、7月12日、神奈川ネットのメンバー4人で見学に赴きました。
図書館機能※をはじめとし、生涯学習支援・市民活動支援・青少年活動支援の4つの機能を併せもった施設です(※武蔵野市には中央図書館は別にあり、分館の位置づけ)。
開放的でいて優しく包まれるような空間のつながり
JR中央線・武蔵境駅南口を出るとすぐ目の前に、楕円の窓が並ぶ白い建物(地上4階・地下2階)が見えます。
この場所は、農水省食糧倉庫跡地で、武蔵野市は1973年から農水省と協議を行い、1998年に土地を取得しました。
地下2階はティーンズスタジオ、地下1階はメインライブラリー、1階はパークラウンジ(エントランス階。カフェ併設)、2階はコミュニケーションライブラリー、3階はワークラウンジ(市民活動・生涯学習支援のスペース)、4階はワークテラス(書斎スペースと大会議室)ですが、4つの機能の単なる複合施設ではなく、一体的、有機的に連携した構成になっています。
それを可能にしたのが、設計プロポーザルの実施により202者もの応募者の中から選ばれたユニークな設計です。建物内は「ルーム」と呼ばれる丸みを帯びたユニットがシームレスに次々とつながっていく構造になっています。
地域社会を活性化させる施設
図書館の役割については、従来の本の貸出し・閲覧への特化から、昨今では「居場所」機能を重視するように変わってきています。
武蔵野プレイスを見学し、本や情報、そこで繰り広げられる活動を通して人々が出会い、交流し、知的な創造(「武蔵野地域自由大学」の運営も行っている!)を展開することで、地域社会を活性化させる公共施設になっているという印象を強く持ちました。
多世代の居場所(特に10代の子どもたち!)としての充実、建物としての居心地の良さも特筆すべきです。
鎌倉中央図書館の延べ床面積が2,576平米、閉館中の鎌倉生涯学習センターが5,075平米であるのに対し(cf.現本庁舎は11,974平米)、武蔵野プレイスは約9,800平米です。
機能のコンセプトが明確で、設計がそのコンセプトを体現している武蔵野プレイスは、鎌倉市の今後の施設整備に当たり、参考にしなければならない施設だと思います。