カジノを含むIRに誘致自治体の近隣市から「憂慮」の声をあげる意義

カジノを含むIRの誘致候補地 山下埠頭

10月4日の本会議にかかった議会議案4件のうち、「カジノを含む統合型リゾート(IR)を憂慮する決議」は少数否決となりました。
賛成は、ネット2人、共産3人、無所属の長嶋、竹田、千議員(松中、くりはら議員は反対)で、会派拘束を解いた会派の1人が退席、反対14人でした。

林文子横浜市長が8月22日に山下ふ頭へのIR誘致を表明して以降、横浜市では住民投票の実施や市長リコール(解職請求)の運動が勢いづいています。しかし、これは横浜市だけの問題ではありません。

決議案では、近隣自治体に及ぼす様々なマイナスの影響は看過できないとして、
1.カジノの収益は、客が失った金であり、その非倫理性は明らかであること。特に首都圏にカジノができれば、経済破綻に陥る人の規模は他の比ではなくは極めて深刻な問題となること
2.反社会的勢力がカジノ運営に関与し資金源を得る可能性。治安の悪化
3.ギャンブル依存症の増加の懸念
4.鎌倉にとって望ましいインバウンドの増加にはつながらないこと
をあげて、IR誘致への憂慮を表明するとともに、鎌倉市にとっては近隣であり、影響人口が圧倒的に多い首都圏にカジノを含むIRの計画認定がされないことを求めたものです。

客を囲い込む施設であるため外に金が落ちないことや、他の税目の減収や生活保護費の支出増により、IRには喧伝されるような経済効果はありませんが、社会的コストで相殺されるにしても誘致自治体には納付金等が入ります。それに引き換え、近隣市は迷惑を被るだけです。

「まだ具体の整備計画が明らかになっていない」段階で憂慮を表明し、圧力をかけるのは、近隣市としては当然の権利行使です。

決議案に反対した会派、無所属議員の言い分は、カジノを含むIRの導入が国策(アベノミクス)だからなのか、財界への忖度なのか、はたまた「カジノができても行かなければ関係ない」という危機感のなさなのか…
理解しかねますが、鎌倉市議会の見識を示すチャンスを逸したことは残念です。
決議案はこちら↓
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gikai/documents/gikaigian0903.pdf