介護保険制度の次期改定で「介護の社会化」からさらに遠ざからないように!
鎌倉市議会9月定例会は、10月4日の本会議で、30年度決算認定議案および議会議案4件を採決して閉会しました。
一般会計の決算認定に反対したのは神奈川ネットと無所属議員だけでした。
決算認定議案採決の後、議会議案(議員が提出した議案)4件の提案・討論・採決がありました。
◇ 日米地位協定の見直しを求める意見書の提出について
◇ カジノを含む統合型リゾート(IR)を憂慮する決議について
◇ 2021年度介護保険制度の改定に対する意見書の提出について
◇ 気候非常事態宣言に関する決議について の4本です。
4件目をのぞく3件は、神奈川ネットが提出者になっています。
■■影響拡大が懸念される保険給付外しと利用者負担増■■
介護保険制度については、3年ごとの見直しがあり、次の改定は2021年ですが、すでに社会保障審議会の介護保険部会では具体的な審議が進んでいます。
11月中旬には改定内容が決まり、年明けの改正法案提出、2021年度の改正制度の施行というスケジュールです。
次期改定に向けて議論されている主な内容を見ると、大きな改定であった2015年度改定で懸念されたことを、さらに危機的状況へと導くものとなっています。
■ 要介護1・2の方の「訪問介護の生活援助サービス」と「通所介護」を介護保険給付から外し、市区町村の地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業に移行
要支援者に対する訪問・通所介護の報酬は、国が実施要綱で定めている単価を上限として各市町村がそれぞれ決めるルールで運用されています。
金額は地域によって異なっていますが、実施要綱の単価をそのまま用いているところも多くあります。
しかし、要介護1.2までが総合事業に移行すると、介護保険の認定者全体の実に6割を超す人が総合事業の対象となり、市町村の財政状況によっては現在より単価設定を低く抑える事態も考えられます。それにより、介護事業所の収入が減れば、十分なスタッフの確保が人材難の現在よりもさらに厳しくなり、その結果、利用者のニーズに適ったサービス提供ができなくなるおそれがあります。
要介護1.2には認知症の方も多く含まれ、今までの生活を続けて行くためには、適切な支援を継続的に受けることが必要です。
要介護1・2の方の通所介護と訪問介護の生活援助サービスを介護保険給付から外すことは、介護保険制度の根幹を揺るがすことになりかねません。
■ケアプラン作成の有料化
ケアマネジャーは要介護者宅を毎月訪問し、相談にのってケアプランを作成します。現在ケアプランの作成は全額が介護保険給付で賄われて、利用者の負担はありません。
有料化されると介護保険サービスの利用の入り口のところで敷居が高くなり、必要な状態であっても利用に踏み切れない人が多くなることが懸念され、既に利用している人は月々の出費が増します(要介護3~5の利用料1割負担の人で約1400円/月!)。
■加えて利用負担率も…
ケアプランを除くサービス利用の自己負担割合は原則1割でした。それが2015年改定で、年収280万円以上(単身の場合)の人は2割負担、さらに2018年改定で「現役並み」所得と位置付けられた人は3割負担となりました。
次期改定では、自己負担2割の対象者拡大が議論されています。
■■介護保険改定に対する意見書 議案可決!■■
議案はこちら↓
http://www.ciy.kamakura.kanagawa.jp/gikai/documents/gikaigian0904.pdf
鎌倉市議会に提案した意見書案では、要支援1・2の「訪問介護の生活援助」と「通所介護」を総合事業に移行させた2015年改定に対する検証も十分行われていない現状で、要介護1・2までも移行させることは早計であると指摘して、次期改定がさらなる給付抑制と利用者の負担増にならないよう、検討を尽くすことを国に求めました。
議案は賛成多数で可決しました。本日現在、本会議の録画映像は市議会ホームページ未掲載ですが、賛成の挙手をしなかったのは自民の3議員だけでした。
意見書は厚労大臣と衆参両院議長に送付されます。全国の議会から意見書を出してほしいです。