「子ども権利条例」にもとづいてつくられた川崎子ども夢パーク
10月18日、神奈川ネットのメンバー20名余で川崎市高津区の川崎子ども夢パークを訪問し、所長の西野博之さんからお話を伺いました。
子ども夢パークは、2001年施行の「川崎市子どもの権利に関する条例」(9月1日付の本サイトの記事参照)に基づいて2003年に開設された公設民営の施設。
「子どもの活動拠点(川崎市子ども会議の事務室がある)」、「プレーパーク(冒険遊び場)」「フリースペースえん(学校の中に居場所を見いだせない子どもや若者が、多様に育ち、遊ぶ場)」の3本柱からなります。
2006年からは、川崎市生涯学習財団とNPO法人「フリースペースたまりば」からなる共同運営事業体が指定管理により運営を担っています。
川崎市子ども権利条例第27条「子どもの居場所」
条例の27条は「子どもには、ありのままの自分でいること、休息して自分を取り戻すこと、自由に遊び、若しくは活動すること又は安心して人間関係をつくりあうことができる場所(以下「居場所」という)が大切であることを考慮し、市は居場所について考え方の普及並びに居場所の確保及びその存続に努めるものとする」と規定しています。
子ども夢パークは、この条文に立脚して、南武線津田山駅徒歩5分の工場跡地(1万㎡)に建てられました。
思いっきり遊べるプレーパーク、全天候型広場、本がたくさんあってゆっくり過ごせる部屋は、登録不要で、どの子も自由にやってきて過ごせます。
フリースペースえんは、利用登録が必要で、お昼ごはんを作って食べるなど「暮らし」をベースにして、子どもたちが自分に合った過ごし方を自分で考えます。
西野さんによれば、子ども夢パークの開設準備時期に「いつでも、どこでも、誰でも学べる学校教育以外での学習権の保障」という考えをきちんと持っていた市職員がいたとのことで、子どもたち・市民・行政が一緒になって子どもの権利条例を作ったプロセスがいかに大きな意味があったかがよくわかりました。
子どものSOSに気づく
日本の子どもの「自己肯定感が低い」ことの背景には、大人の「不安」があり、不安な大人が先回りして「予防」に走ることで、子どもたちががんじがらめになってしまう…。西野さんはそう考えて『ゆる親のすすめ』を世に問うたのだそうです。子ども夢パークでは、遊びが育む力を重視するとともに、安心して失敗できる環境づくりを実践をしています。
また、子どもを取り巻く環境は、貧困(ネグレクト)と過干渉に二極化している。子どもは「助けて」という言葉を発しにくく、こどものSOSは気づきにくい。子どもと大人が出合える場所を増やし、感度の良い大人が子どものSOSを察知することが大切、とも話されていました。
子どもが自分らしく安心していられる居場所で感度の良い大人とも接することができる、というのがまさに子ども夢パークの目指すところなのでしょう。
鎌倉市は、「(仮称)子どもがのびのびと自分らしく育つまち鎌倉条例」を策定中で、修正案で「子どもの居場所の確保」の条文が追加されましたが、理念に止まらず、川崎市のように具体的な施策に反映させることが課題だと痛感しました。