「子どもがのびのびと自分らしく育つまち鎌倉条例(案)」への意見募集

鎌倉市は、12月2日まで「(仮称)子どもがのびのびと自分らしく育つまち鎌倉条例(案)」に対する意見(パブリックコメント)を募集しています。
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kodomokyoku/kodomojourei.html

本サイトの9月1日付記事では、「12月議会での制定に向けて、条例案の策定が進められている」と書きましたが、パブコメ開始は11月1日からとなり、パブコメおよび12月議会の教育こどもみらい常任委員会への報告を経て、「2月議会で議案提案→条例制定」というのが現在示されているスケジュールです。

本件条例は、市長の「子ども総合支援条例をつくる」という宣言のもとで策定が始まったものです。
2018年9月議会の一般質問では、子どもを権利の主体としてとらえ子どもの自己肯定感を高め、エンパワーメントを促すこと織り込み 条例について知った子どもが、自分たちのことが書かれている、自分たちに直接語りかけているとわかる、メッセージ性のある条例にすべきである、と指摘しました。
その後、条例案には再三の修正があり、条例名(仮称)も変更されましたが、一般質問での指摘は、今回のパブコメ素案にも当てはまると思っています。
(クリック↓で拡大表示)
(仮称)子ども総合支援条例 一般質問会議録抜粋のサムネイル

6月議会で示された修正案の時点で、それ以前の条例案よりも改善された点(国連「子どもの権利条約」を意識した内容になったことなど)については、9月1日付の記事で触れました。
しかし、パブコメ素案を改めて読むと、先行した他自治体の条例を超える内容を目指したものではないことを痛感せざるを得ません。
その理由は、上掲の一般質問(長いので赤字の部分を拾い読みしてください)でほぼ言い尽くしていますが、若干追加します。

子どもの意見表明権の保障が弱い
パブコメ素案では、
(子どもが意見を言える機会)
第 17 条 市は、子どもが、自由に意見や夢、困りごとを気軽に言える機会、又は身近な大人 や仲間が代弁できる機会を設けるものとする。この場合において、市は、秘密を守るなど、子どもの不利益にならないよう、特に配慮しなければならない 
市は、子どもが得た情報等について市政への質問や意見表明などを行うことを支援するものとする 
市は、子どもが、市政に対して、夢や希望を言える機会を設けるものとする
と規定されています。毎年開催している子ども議会などを念頭に入れた規定だと理解します。

しかし、例えば、相模原市子どもの権利条例には
第13条 市並びに子どもに関わる施設の設置者及び管理者は、それぞれが実施する子どもに関する施策及び取組について、子どもが参加し、又は意見を表明する機会を確保するよう努めるものとします
という規定があり、
松本市子どもの権利条例
第4条 3(子どもが成長していくため次に掲げる権利を大切にする)自分の考えや意見が受け止められ、年齢や成熟に応じて尊重され、自分らしく生きていくことができること
第11条 市は、子どもが育ち学ぶ施設や社会の一員として自分の考えや意見を表明し、参加する機会やしくみを設けるよう努めます 
市は、子どもが利用する施設の設置や運営さらには子どもにかかわることがらを検討する時などは、子どもが考えや意見を自由に表明したり、参加したりすることができるよう必要な支援に努めます
と規定しています。
鎌倉市条例案が、「子どもに意見を言える機会を与える」という立場であるのに対し、相模原市、松本市の条例は、子どもに関わる広範な場において子どもの意見表明権を保障していくという立場で、その違いは明らかです。

さらに言うと、鎌倉市条例案17条の困りごとは、実はパブコメ素案では削除されている文言です。
6月議会の常任委員会で安立議員が「子どもが切実に困っていることを表明できるように後押しすることこそが大事ではないか」と意見を述べましたが、削除は撤回されませんでした。
辛い思いをした時や嫌なことをされた時に、我慢しないで、相手に「嫌だから止めて」と伝えたり、家族や先生に助けを求めたりすることは大切な権利なのだ、と子どもたちに伝えることが大切ですし、条例制定を機に相談室を設けた相模原市のような取組みこそ参考にすべきです。http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/060/leaflet_2019.pdf
「困りごと」を削除する理由がどこにあったのか、理解に苦しみます。

子どもの居場所の確保の条文
もう1点。
6月議会に示された修正案において「子どもの居場所の確保」の条文(第8条)が追加されたことは前進でした。
しかし、子どもの権利条例を作った時に、条例に実効性を持たせる施策として子どもの居場所・活動拠点である「子ども夢パーク」を開設した川崎市のような動きはなく、「居場所の確保及び充実に努めるものとする」という条文と実態がかけ離れていることが、厳しく問われる状況です。

よりよい条例になるよう、あるいは条例にもとづく施策の充実がはかれるよう、パブコメ素案に対し様々な視点から多くの意見が寄せられることを期待します。