誰のための子ども条例?~子どものびのび条例案 可決
鎌倉市議会は、日程が延期されていた総務常任委員会が3月10日、現年度議案の採決を行う本会議が12日に開かれ、13日(金)から新年度予算を審査する特別委員会(26日まで計6日間)が始まっています。
12日の本会議では、「子どもがのびのびと自分らしく育つまち鎌倉条例」案が議案第83号として採決され、賛成多数で可決しました。
※条例案は、次の議案集のp18~24 http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soumu/documents/r02-2teireikaigi.pdf
条例案に対する討論
反対したのはネット、共産党の2会派と無所属議員の10人で、賛成は他の5会派の13人でした。採決に先立って、吉岡・安立・竹田議員が反対討論、納所議員(公明党)と河村議員(ヴィジョン)が賛成討論を行いました。
条例案に反対した会派・議員の主張は、
●条例の内容に関しては
・子どもを支援の対象としてのみ捉えるのではなく、子どもを権利の主体とみて、その権利保障を条文に書き込むべきである
・子どもの意見表明権の保障にもっと心をくだくべきである
●条例案づくりの過程については
・他市の先進事例も踏まえ、子ども委員会を作るなどして、子ども自身の参加のもとで条例の中身を検討すべきであった
・市長が選挙時のマニフェストに掲げたという理由で、市長のための条例づくりを急ぐのはおかしい
という点で共通していました。
これに対し、賛成討論の2議員の主張は、
・国連子どもの権利条約が掲げる4つの権利が盛り込まれたのだから良いだろう※
・子どもの支援という視点に欠ける大人たちに子どものことを考えるように促すという点において必要な条例である
・制定の過程よりも中身が大事
といった趣旨で、「子どもの権利にこだわるのは一部の人たちである」と印象づけようとする姿勢が見て取れました。
(※4つの権利は逐条解説では紹介されているが、条文にはない)
討論・採決の様子は、現在は市議会のホームページ未掲載ですが、24日頃にはアップされます。是非多くの方に見ていただきたいと思います。
http://kamakuracity.gijiroku.com/g07_Video_Search.asp (3月12日の本会議を選択)
子ども達をエンパワーする条例に
私たちは、主義主張のために「子どもの権利」と言っているのではありません。
子どもの権利は、大人が守ればよいというものではなく、子ども自身が、自分の持つ権利を知り、自ら行使できるようにならなくては、本当の意味では守られません。
その視点をしっかりと持った条例であれば、目にした子ども達が、自分たちのことが書かれていると気づき、子ども達のエンパワーメントにつながると信じるから言っているのです。
条例の内容は残念ながら中途半端なものです。
今後作られるはずの条例概要子ども版(小学校低学年向け・高学年向け・中学生向けなど別々に作るべき)、または子ども向け条例ガイドブックなどが、「子ども自身が、自分の持つ権利を知り、自ら行使できるように」ということに力点をおいたものとなることを切に求めます。
市の取組として、子どもの権利保障の仕組みも、前に進めなくてはなりません。
これについては、新年度予算の審査の中でも質していきたいと思います。
◆最後に、討論の全文は、こちらです。