スーパーシティ法の成立で、鎌倉市はエントリーに進むのか
スーパーシティ法が成立
5月27日、改正国家戦略特区法(スーパーシティ法)が参議院本会議で可決、成立しました。
内閣府が国家戦略特区の取組の中で進めている「スーパーシティ構想」は、AIやビッグデータを活用した最先端都市(『まるごと未来都市』)の実現を、地域と事業者と国が一体となって目指すものです。
地域課題の解決に向けて最先端技術を活用するのに必要だとされているのが、住民・企業等から収集した様々な分野の情報を集約する「データ連携基盤」(都市OS)の構築。大きな懸念はここにあります。
▽個人情報は適切に管理されるのか、情報収集が個人の監視につながらないか
▽利便性と引き換えに個人の行動歴や志向(嗜好)、ニーズがデータとして収集・蓄積されることへの合意形成はできるのか(拒否したい人の自由は保障されるのか)
▽目指す都市像についての住民合意を必須とする保証はあるのか…等々、スーパーシティ構想は決してすべてがバラ色ではなく、スーパーシティ法はコロナ禍のどさくさに紛れて通してしまってよい法律ではありませんでした。
鎌倉市はエントリーを目指すのか
内閣府の国家戦略特区のページの「スーパーシティ構想について 内閣府地方創生推進事務局」(令和2年5月更新)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/supercity.pdf には、
昨年9月から内閣府地方創生推進事務局が行った「スーパーシティ構想 自治体アイディア公募」の結果が掲載されています。
5月8日現在で応募があったのは全国の54自治体。このなかに鎌倉市と藤沢市があります。
スーパーシティは、新規開発型 (グリーンフィールド型)と既存都市型 (ブラウンフィールド型)に2分類されますが、鎌倉市が応募したアイデアは新規開発型の中の「完全新規」、藤沢市のアイデアは既存都市型の中の「自治体の一部」に分類されています。
これまでを少し振り返ると、
▼昨年の9月議会の建設常任委員会で示された「深沢地区まちづくり方針実現化に向けた検討 中間答申」の中には、「未来志向のまちづくりの中で、国のソサエティー5.0、スーパーシティ構想の体現を目指す」と書かれていました。
▼同12月議会の総務常任委員会では、政策創造課が「鎌倉版スマートシティの構築に向けた取組みを進める中で、国が『スーパーシティ』構想を法制化して、事業選定の公募を実施した場合のエントリーも念頭に入れている」と説明。
(この時点では前述の「自治体アイデア」応募については言及されなかったが、アイデアは既に固まっていたのかどうか…)
▼本年1月25日の市制80周年記念シンポジウムのパネリストにスーパーシティ構想に携わる内閣府の審議官、村上敬亮氏をパネリストに招聘。
という経緯がありました。
新規開発型のアイデアということは…
内閣府は自治体アイデアの公募要項に、「アイディア公募において事業の選定は行いません。また、応募の有無や内容は、今後予定されるエリア選定プロセスには一切影響いたしません」と明記していますが、エリアに選定されることを望むアイデア提供自治体は、アイデアに改良を加えて事業計画をつくると考えるのが普通でしょう。
鎌倉版スマートシティに向けた取組みには深沢地域整備課が当初からコミットしていましたが、特区・規制緩和・地域課題の解決…といったキーワードから、ロードプライシングの実装や交通不便地域の新型交通システムの導入といった案も、ひょっとするとありうるかと推測しました。
しかし、鎌倉市が出したアイデアが新規開発型&完全新規なら、深沢地域整備事業しかないということか!