避難所での感染リスクを抑える取組み

台風・豪雨災害が多発する季節が近づいています。6月11日に行った一般質問では、新型コロナウイルス感染症の「次の波」への備えが必要な現状における災害避難ついて取り上げました。

段ボールベッドの確保
段ボールベッドは、避難所の固く冷たい床に直接寝ることの身体への負担を和らげ、プライバシー配慮の間仕切りにもなるため、鎌倉市は、2017年11月に取扱業者の組合と供給協定を締結しています。今般ウイルスを含む飛沫が、床に落ちてそのまま溜まりやすいことがわかり、30~40㎝の高さを保つことができる段ボールベッドは、感染防止にも役立つと注目されています。

段ボールは湿気に弱いこともあり、見本として少数の現物は保有していますが、必要数の備蓄はされていません。発災時の必要数量確保と迅速な納品の可否について質問したところ、昨秋の台風被害の他県での事例からも、迅速な供給能力が見込まれるとの回答でした。

 

密集を防ぐパーテーション
避難時に感染が広がるリスクを抑えるには、密集を防ぐ必要があります。
鎌倉市では、昨年12月の補正予算で、多目的個室テントを16避難所(小学校)に各4基配備しました。
災害備蓄用パーテーションは、2020年度当初予算で小学校に10基ずつ配備する予算を計上、今6月議会の補正予算案で25避難所(小中学校)に20基ずつ配備する予算を追加しています。

現状では、避難所1カ所あたり1,000人を想定して、食料などの備蓄を行っていますが、「過密を避けると実際に収容できる人数がどのくらいになるかのシミュレーションは行っているか」と質問しました。体育館にパーテーションを設置した場合の収容可能人数を考え、体育館以外の教室などの避難所としての使用について学校と協議を進めていることを確認しました。

 

密集への集中を抑える「分散避難」
分散避難の計画を立てることも重要です。

避難所への集中を抑える方法として、在宅避難ができる世帯を増やすことが挙げられます。建物が堅牢なマンションの居住者・管理組合による在宅避難の備えを行政が後押しすることをはじめ、避難所運営と在宅避難支援をつなげる方策の検討も、取組むべき課題です。

また、防災マップには県立高校などの補助避難所や風水害等避難場所が列挙されていますが、地域での認知度は低いのが現状です。地域によっては自治会館などを身近な避難所に実質的に位置付けて自主運営のシミュレーションが行われることが望まれます。
現在市内のいくつもの地域で避難所運営マニュアルづくりが行われています。「地域全体を捉えた地区防災計画まで視野に入れてはどうか。その後押しのためにも、市職員の地域担当制を本気で考えるべき時ではないか」との質問に対しては、「まずは各地域での避難所運営マニュアルづくりを進めたい。地区防災計画はその後の課題になるが、昨秋の台風襲来時に試行した市職員の地域担当制は本格的なものにしていく」との答えでした。

コロナ禍を踏まえることで、災害時の避難のあり方がより良い方向に進むようにしていきたいと思います。