市民全員に5千円の電子商品券配付で店舗支援の効果は?!

政府の消費喚起策「Go Toキャンペーン」に対しては、①Go To自体の功罪(消費・外出行動控えから転じるきっかけになるが、過密が生じる)②消費喚起策としての効果への懸念(影響が限定)③今やるべきことは消費喚起策ではないという批判…など多様な声があがっています。

しかし、消費喚起策は、自治体もこぞって実施しています。政府の臨時交付金を財源にできるからで、プレミアム付き商品券、地元お買物券のような取組みが多くみられます。

 

「全会一致で反対」が賛成多数にひっくり返る!
鎌倉市は、7月の臨時議会に、市内の中小の小売業・飲食業・サービス業の店舗で使用できる3000円の電子クーポンを市民全員に1枚ずつ配付する「鎌倉応援買い物・飲食クーポン事業」の補正予算案を提案しました。
神奈川ネットは、この事業の経費6億5千万円を削除する修正案を提出しました。修正案は全会一致で可決し、電子クーポン事業の予算化は見送られました。

 

しかし市長は、電子クーポンを電子商品券と言い換え、金額を1人3千円から5千円に引きあげた総額9億9千万円の事業を9月議会の補正予算に再提案してきました。財源は国の臨時交付金5億7千万円、市費の持ち出し4億2千万円です。

電子商品券というのは、QRコードを印刷したカードです。これが市民全員に郵送されます。登録店舗(600店舗以上を目指すとしている)では決済用アプリを搭載したスマートフォンで買物客が提示するQRコードを読み取って決済します。

神奈川ネットは一貫して反対しましたが、市議会7会派のうち5会派が賛成に転じたため、議案は賛成多数で可決しました(無所属議員の全員が反対していれば、賛成13人、反対10人)。
20.9定討論写真のサムネイル

 

4つの理由をあげて反対討論
9月25日の本会議では、議案採決に先立って次の4点をあげて反対討論を行いました。

1.中小店舗の収益増の効果が小さい。
日常的な買物・飲食に現金や普段使うカードの代わりに使われる可能性が高く、売上増にはならない。しかも経費を引いた利益はずっと小さい額で、店舗支援効果が薄い。

2.商品券が使われる店は、人気店や少し贅沢な使い方に向いた店、日常的な買物で日頃重宝されている店に偏る。

3.コロナ禍で行政がやるべきことは他にある。事業継続の瀬戸際にある事業者が必要とするのは、運営資金の提供であり、各種支援の利用等についてのコンサルティングではないか。

4.災害や感染症の再拡大などの緊急事態に備え財源額保に努めるべきで、4億円超の市費を投じるのは問題である。