「カード」と言ったら詐欺!          ~鎌倉市消費生活条例の改正

高齢者の財産を狙う事件が多発しています。特に振り込め詐欺、カード詐欺などの特殊詐欺は、手を変え品を変え後を絶ちません。
特殊詐欺のサムネイル
消費者被害の増加を受け、鎌倉市では消費生活条例の改正を進めており、10月29日まで条例案の意見募集(パブコメ)が行われています。
改正条例は、「鎌倉市市民のくらしをまもる条例」へと名称変更される予定です。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/seikatu/2020paburikkukomento.html

消費者被害を防ぐための協議会
改正条例には、「消費者安全確保地域協議会」(以下、協議会)の設置が規定されます。協議会の設置は2014年の消費者安全法の改正を受けたものですが、2020年9月現在で協議会設置済みの自治体は全国でまだ291しかありません。

協議会は、①鎌倉市(市民相談課・生活福祉課等)、②社会福祉協議会や民生委員児童委員協議会などの福祉関係団体、③警察・保健福祉事務所などの関係行政機関で構成され、見守り活動の実施、市の相談窓口(消費生活センターや生活困窮者自立相談支援の窓口など)の紹介、市への通報(個人情報を含む情報提供)、相談解決に向けた個別の支援などを行います。

くらし見守りネットワーク
協議会をもう一回り広げた体制が「くらし見守りネットワーク」です。協議会の構成団体に、郵便局、電気・ガス・水道事業者、宅配業者、新聞販売店、食材配達事業者、コンビニ、NPOなどの民間事業者との協力・連携を加えたネットワークです。日々の業務活動の中で市民を緩やかに見守り、気になることがあれば相談窓口等につなぐ機能を期待されています。
ネットワークによる見守りで把握した情報は協議会が吸い上げ、必要な情報交換を行って個別具体的な見守り方法・支援方法について協議を行います。
くらし見守りネットワークのスキームのサムネイル

暮らしを守る条例に
鎌倉市の条例改正は、消費生活上のトラブルにより生活困窮に陥るケースの未然防止も視野に入れていますが、消費相談における高齢者の比率が高まる現状を踏まえて、高齢者対応をより強く意識したものになっています。

その具体策が、上述の民間事業者等による業務活動の中での見守りです。
現在鎌倉市が高齢者の見守りについての協定を結んでいるのは、郵便局とセブンイレブンです。協定先を拡充するとともに、民間事業者それぞれの業務内容に応じた具体な協力事項・協力方法を提示して、ネットワークの連携が効果を発揮するように図ることが必要です。

特殊詐欺でこそありませんでしたが、昨年亡くなった私の父も、一人暮らしの高齢者を狙ったリフォーム業者に工事を依頼し、金額に見合わない結果に落胆させられました。
父から相談された私も的確な助言ができずなかったことを悔やんでいます。こうした個人的な経験からすると、訪問販売を登録制にした滋賀県野洲市の「暮らし支えあい条例」は画期的です。
ともあれ、高齢者の財産が狙われることを防ぐ仕組みの強化は必要で、鎌倉市の条例が機能するように図っていきたいと思います。