スマート技術で解決できる社会課題ってそんなにあるの?

鎌倉市は、「市民の課題に寄り添うテクノロジーの活用をはかり、持続可能な共生のまちをつくる」として、スマートシティ構築の取組みを、2020年度から始まったの第4期基本計画に位置づけています。来年8月(市長選の2か月前)には、スマートシティ基本構想を取りまとめる予定です。

スマートシティ市民対話
今日はオンラインの「スマートシティ市民対話」が開催されたので、午前の部に参加しました。参加者は37人。共創計画部の職員と事務方のフューチャーセッションズの社員を除く一般参加は27、28人でした。全体で行った第1部・3部ではチャットやアンケート機能を用い、第2部は4人ずつの「ルーム」に分かれて対話しました。

参加人数は多すぎず少なすぎずで、オンライン開催は滞りなく運び、特に「ルーム」では通り一遍でない意見交換ができました。

 

決めつける姿勢の「デジタルデバイド対策」
ただ、市がスマートシティに向けた取組のなかで「高齢者をはじめとする ICT に親しみのない市民を取り残さないようにデジタルデバイド対策を行う」と言う際に、「デジタル技術の利便性がわからない人の理解を促す」という姿勢が見られるのはずっと気になっています。

そこまで便利である必要はない、と考える人に対し、「自分で覚えていたり、考えて判断したりするより、ITがあなたに代わって選んだ必要な情報を提供してもらう方が便利」と決めつけるのはおかしい。人を介したサービスの方がよいという価値観を、「人口減で人手不足なのだから」と切り捨ててよいとも思いません。

施策の立案段階でも市民意見を取り入れる
今日の市民対話の中で、参加者から多様性を認め合うことの大切さが繰り返し語られたのはよかったです。
一方、スマートシティの実現(スマート技術の利用)によって解決させたい市政の課題については具体のものがあまりあがりませんでした。
「ルーム」では、人が集うことや人を介した取り組みがあり、そこにスマート技術が組み合わされることで生きてくるのであり、スマート技術だけでは成り立たない、という話も出ました。
地域の移動サービスなどはまさにそうだと思います。

市民対話は、今回のような初期段階だけでなく、具体な施策の立案段階でもさらに参加層を広げて行い、不要だという声が多い施策があったら取りやめるべきです。「ガス抜き」やスマートシティに対する心理的な障壁を低くするために市民対話を用い、具体な施策は民間企業との官民連携プラットフォームで決めていくということではないようにしてほしいものです。